【事例紹介】SIer企業_営業課題の解決に向けた新規サービス立ち上げ支援プロジェクト

- インプットポイント
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- 新規サービスの立ち上げが営業活動にもたらす効果について理解できる
- 新規サービスの開発に向けた進め方や、FirstDigitalの支援内容を理解できる
とあるSIer企業様からご相談いただいた、営業課題の解決に資する新規サービスの立ち上げ支援についてご紹介。新規サービスの立ち上げはどのような手順で進めるのか、サービスの方針策定や設計で検討すべきポイントや、サービスの立ち上げ以降に留意すべき点を中心に、FirstDigitalがどのような支援を実施しているのか、参考にしていただきたい。
プロジェクトの目的/背景
クライアントは、業界大手のSIer企業となる。
本プロジェクトを相談いただいた背景として、クライアント企業では、数多くのサービス/ソリューションを保有する一方で、顧客企業の課題やニーズの全体像を上流から把握するための仕組みを構築できていないという営業課題が存在していた。
また、昨今はBtoC/BtoBともにOne to Oneなデジタルマーケティングを実施するために社内のデータ活用の見直しが必要となり、システム更改を行う企業が多い状況にあるものの、クライアント企業では、デジマ領域においてのサービスの対外的な認知を獲得できていないこともあり、案件の創出に寄与する打ち手を模索する状況でもあった。
そのような背景のもと、弊社およびクライアント企業の間で議論・検討を重ねた結果、「マーケティングから各種業務に至るまで、顧客企業のDX習熟度をモニタリングする新規サービスを立ち上げること」をゴールとしたプロジェクトを実施することで合意した。
プロジェクトの流れ
本プロジェクトは、大きく3つのフェーズでプロジェクトを進行した。
- 1.サービス方針策定フェーズ
- 2.サービス設計フェーズ
- 3.提供方法検討フェーズ
1.サービス方針策定フェーズ
プロジェクトとしての目的やサービスを立ち上げるといった方針は定まっているものの、本サービスでどのような価値を提供するのか(できるのか)といった点が定義できておらず、市場で実際に提供されているサービスの内容や、提供しているプレイヤー、提供範囲やターゲット、価格帯など不明瞭な状態となっていた為、まずは市場調査・競合調査を実施した上で、本サービスならではの提供価値の検討を進めることとした。
市場・競合調査は「コンサルティングファーム」「SIer」「その他デジタル関連企業」に絞って調査を実施したところ、いずれのプレイヤーも業界を問わずにサービス提供を行っている点が共通しつつも、プレイヤーごとに異なる特徴(下記)がみられた。
- コンサルティングファームは、デジタルマーケティング全般をスコープとして、顧客ごとにカスタマイズした診断からコンサルティングサービスを広く提供する一方、提供価格が非常に高い。
- SIerは、マーケティングシステムやデータ分析をスコープとして、定型化された診断サービスを提供しており、提供価格はコンサルと比較すると安価。
- その他デジタル関連企業は、デジタルマーケティングの中でも広告やWebサイトといったフロントエンドをスコープとし、定型化された診断サービスを提供しており、価格も安価(一部、無償のケースあり)。
これらの情報をもとに、各プレイヤーと同じサービス展開を行った場合に想定されるメリット/デメリットや、クライアント企業ならではの強みを考慮し、「デジタルマーケティング全般をスコープとし、定型化した診断&コンサルティングサービスを、SIerと同程度の価格で、特定の業界・業種に絞って提供する」形とした。
2.サービス設計フェーズ
本フェーズでは、サービス方針策定フェーズで決定した内容をもとに、サービスの具体化を実施している。
具体的なサービス設計にあたっては、特定の業種・業態のターゲットの顧客理解を深めるために、事業の規模やフェーズといった軸で細分化した上で、カスタマージャーニー形式での整理を行っている。
カスタマージャーニーを作成することにより、顧客にどのような課題やニーズが立ち現れるのか、それに対応する打ち手はどのような内容か、どのようなマーケティング上の仕組みがあれば解消することができるのか、といった点が精緻化されるため、本サービスで行うべきモニタリング項目が明確となる。
モニタリングサービスの提供に関しては、各モニタリング項目をどのように評価するのか、その評価の正確性や客観性をどのように担保していくのか、という点が重要となる。サービス提供の肝となるため、詳細は割愛させていただくが、「絶対評価を採用するのか」、「相対評価を採用するのか」という点にはじまり、どのようにすれば関係者や、サービスの受益者が納得する妥当な評価になるのか、という議題に関しては幾度となく議論をすることとなった。
3.サービス提供フェーズ
本フェーズでは、モニタリングサービスのリリースや提供に必要となる事項の検討を実施している。
大きくは、「マーケティング/セールス」と「サービスデリバリー」に関しての整理である。
マーケティング/セールスでは、新規顧客/既存顧客に対するアプローチ手法および必要となる資料や情報の整理、問い合わせ時の体制や、契約手続きに関する内容、社内関係者への周知活動など、大小さまざまな検討を実施する。
サービスデリバリーでは、顧客に対するサービス提供のプロセスや弊社とクライアントでどのような体制のもとにサービス提供を行うのか、どのようにサービスのPDCAを実行するのか、モニタリングサービス提供後の営業/提案活動をどのように行うのかといった点や、各プロセスを弊社とクライアントでどのような体制で取り組むのかといった点について検討を実施した。
プロジェクトの成果
本サービスをリリースしたことで、クライアント企業の営業活動において新規顧客に対するドアノックの機会創出や、既存顧客の新たな課題/ニーズの導出に向けた顧客の理解に寄与している。
また、本サービスの存在を周知したことにより、従来は相談の少なかったデジタルマーケティング領域の相談が増えており、当初想定していた目的をいずれも達成する結果となっている。
本プロジェクトにおける支援は、あくまでサービス設計に留まっていたため、後続のプロジェクトとして営業/提案活動の支援も実施している。詳細は割愛させていただくが、営業や提案活動に必要となる各種資料の作成や、クライアントの営業担当者に帯同し、本サービスに関する説明やヒアリングの支援等を実施させていただいた。
まとめ
新規サービスの立ち上げは、サービスの実装を行うまでに根気が必要だが、それだけでなく部門/部署の垣根を越えた多くの関係者を巻き込むため、企業にとっての一大プロジェクトとなるケースがある。本プロジェクトでは幸いなことに、当初の目的を果たすことが出来たものの、リリース後に思うような成果が出ず、不調に終わるケースも少なくない。
特に事業と関連のある/隣接する領域であったとしても、知見のない領域に踏み出す際には、社内の人員だけでは知見や経験が不足しがちなため、プロジェクトの実行/推進において人的なリソースの課題はないか見直しをおすすめする。
その際、頼ることのできるパートナーが見当たらない場合には、ぜひ弊社へのご相談をお願いしたい。
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- 窪田 聡史
- この記事は窪田 聡史が執筆・編集しました。
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