2022.07.28

現役コンサルタントが教えるドキュメント作成のポイント【入門編】

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現役コンサルタントが教えるドキュメント作成のポイント【入門編】
インプットポイント
  • ミスや余計な情報が思考の邪魔をするので、間違いを無くし細かい配慮が必要
  • 役割・目的を意識して、ドキュメントを作ることが重要

我々のようなコンサルティングファームではなくても、ドキュメント作成に追われているビジネスパーソンは多いのではないでしょうか?また、そのような方の中には「君の作ったドキュメントはなんだか読みにくい」、「理由は分からないけど内容が頭に入ってこない」などの意見をもらい、すぐに終わると思っていた資料作成に頭を悩ませている方もいることでしょう。

自分で感じている以上に敏感に物を見ていて、違和感のある要素が思考の邪魔をする

ドキュメント作成には何が必要なのでしょうか?
コンサルタントは、仮説思考、論点思考、ロジカルシンキング、図解思考、数字思考、文章力などの様々なスキルを駆使してドキュメントを作成しますが、ここではもう少し前段で必要となる細かい配慮や、スライドのレイアウトなどに触れたいと思います。

下記のように四角いボックスを並べて、課題と改善策を俯瞰するためのドキュメントを多く作ります。クライアントに提出する前の社内レビューで、ボックスの間隔が一部だけ違っていることについて先輩から指摘されたことが、コンサルタントになりたての頃にはよくありました。指摘を受けた箇所を微調整して直していましたが他にも等間隔になっていない箇所を発見して、ゼロからスライドを作り直した方が早いのでは?と感じ、同じ間隔で要素を並べることを意識して作業をすることで、作業にも規則性が生まれ短時間に効率良くドキュメント作成できると実感したことを覚えています。それだけでなく、等間隔で資料上の要素を並べることに慣れてくると、他の人が作った資料が気になるようになり、等間隔に要素が並んでいないことで、肝心の内容が頭に入ってこないことに気が付きます。人間は自分で感じている以上に敏感に物を見ていて、違和感のある要素が思考の邪魔をすることもあるのです。

文字の大きさや太さ、要素の配置や色についても、読み手に大きな影響を与えます。以下のスライドはWebページ制作の流れを表したフローチャートです。左側が修正前のものですが、作業全体の概要を伝えることが目的のはずが、個々の作業を分類するために複数の色を使ったことで、細かい部分に目が行ってしまい肝心の作業概要が頭に入ってきません。

右側のスライドは、余計な色を使わず、文字サイズも統一し修正したものです。伝える必要のない要素を削ったことで、内容が理解しやすくなります。雑多な情報の中から、重要な内容を整理して伝えることで、議論しやすい環境ができるのです。

下記は、Webページ制作についての業務フロー図ですが、「公開の承認」の作業を表す四角いボックスがあり、 ①Yes(承認)、②No(非承認)のように二つの方向に矢印が分岐する箇所以外は、基本的には上から下に向かって作業が流れるようにボックスを配置し、それらを矢印で繋いでスライドを作ります。私の失敗談にもなりますが、限られた紙面の中にどうしても上手くボックスが収まらず、通常とは逆に下から上に向かう矢印があるドキュメントを社内レビューすると、先輩からは、「この部分がおかしい。こうすれば問題なく収まるのでは?」と問題箇所をすぐに発見して解決策が浮かんでくることに、驚かされたことを覚えています。ドキュメント作成に必要な規則が自分の中に存在し、忠実に従って作業するので、他の人が作成したドキュメントの間違いにすぐに気付き、細かい部分に配慮して直すことにも慣れているのです。

目的・役割に合わせてレイアウトすると、読み手に伝わりやすくなる

コンサルタントは、現場の担当者から現状の作業フローをヒアリングし、今まで見えなかった課題を浮き彫りにしてドキュメントに落とし、改善案を提示するような作業を頻繁に行います。複数のツールや作業が複雑に連携するシステムを改修するようなプロジェクトでは、改善案について関係者で議論がしやすくなるように、詳細な業務フロー図ではなく、下記のような概略図を使って業務内容を表現することもあります。システムの厳密な仕組みを伝えるのではなく、ドキュメントの目的・役割に合わせて、システムが抱える課題、疑問点、改善案を俯瞰できるようにレイアウトするのです。

次の図は、プロジェクト前半に実施したミーティング(以下、MTG)において導き出した方針を1枚にまとめたスライドです。たくさんの文字が詰まっているにもかかわらず、上から順に読んでいくことで、全体の方針は何に決まったのか?顧客の分類ごとに何を目指すのか?について短い文章を使って整理して記載しており、ストレスなく読み進むことができます。プロジェクト前半の検討経過を1枚のスライドにすることで、MTGに参加するメンバーの頭の中も整理され、残っている課題や、より詳細な内容の検討もしやすくなるのです。

このように、細かい部分に配慮がなされ、目的・役割を意識して整理されたドキュメントは、読み手にダイレクトに内容が伝わるようになります。これらのドキュメントの集積が、プロジェクト関係者にストレスなく正確に情報が共有され、議論が活発に行われるようになり、同じゴールに向かうこと環境ができるのです。

マガジン編集部
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この記事はマガジン編集部が執筆・編集しました。

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