CRMマーケティングにおけるPDCAのポイント
- インプットポイント
-
- メールCRM施策についてECサイト担当者の抱えがちなお悩み
- メールCRM施策PDCAの鉄板のフレームワーク
スマホ主流の昨今であっても、EC事業のCRMにおいて、メールの果す役割は、依然小さくはありません。
メールCRM施策での成功パターンが中々見出せず、悩みを抱えているECサイトご担当者は少なくないようです。メールCRM施策で、以下のような悩みを持った事はないでしょうか?
- 集客や新規客獲得の施策と異なり規模感が小さいので、ABテストが多用できない
- 都度の売上に一喜一憂はするばかりで、場当たり的な施策プランになっている
- 持続的なPDCAを回せている感覚があまりなく、施策を進化させている感じがしない
- どこからプランニングの手をつけていいのかわからない
特に、「複数商品を販促する長期キャンペーン」で、上記のような悩みはよくあるようです。
今回は、その「複数商品販促の長期キャンペーン」を例にして、メールCRM施策PDCAに有効な視点・考え方のフレームワークをご紹介していきます。
メール施策PDCAの鉄板のフレームワークとは?
メールCRM施策のPDCAサイクルを持続的に回していくにあたって、鉄板のフレームワークがあります。 こちら、冒頭で挙げた「複数商品販促の長期キャンペーン」において継続的に効果を上げた実績があり、有効性があるフレームワークです。
そのフレームワークとは、施策を分析・プランニングする際の考え方の枠組みで、以下3つの設計視点がその枠組みとなります。
A. 配信設計
B. 誘導設計
C. セグメント設計
これらの設計の概要を、具体例を交えつつ、以下ご紹介していきます。
成果を最も左右する「配信設計」
「A. 配信設計」とは、「どのタイミング、どれ位の頻度で、メールを配信するか?」という設計です。
例えば、「1ヶ月のキャンペーン期間に週1回の間隔で4回配信をする」といった設計がその一例です。
こちら、顧客との接触機会や購入検討機会の回数に直結する設計の為、この後紹介する2つの設計よりも、成果に影響力のある設計となります。特に、複数商品推奨の長期キャンペーンでは、各商品の説得情報が多くない事で1通のメール内の訴求力が限定される為、その影響力がより大きなものとなります。
この設計で注意したいポイントは、ただ闇雲に配信回数を増やせばいい訳ではないという点です。「期間内の配信回数最大化」は最重要なテーマですが、多すぎる配信回数はメール開封を減らし、顧客離れに繋がります。その為、キャンペーンの山を意識した上での適切な配信間隔の設計が重要になります。適切な配信間隔は、サイトによっても会員によっても傾向は異なる為、自社内での試行錯誤が必要となってきます。
また、配信機会を増やす為にキャンペーン期間を長くしすぎると、顧客の意識が間伸びして成果が落ちる事もあります。その為、「キャンペーン期間の設定」も、配信設計では重要な要素となります。
顧客にとってベストな検討機会を増やす「誘導設計」
誘導設計とは、「顧客がベストなタイミングで、購入検討に到達できるようにする誘導導線」の設計です。例えば、「キャンペーンをメールだけで完結させずに、キャンペーンLPや、ECサイトへの誘導も行い、購入検討の場所を増やす」といった設計がその一例です。
メールで購入を決断できる顧客もいれば、その先の誘導ページで気になる商品を比較してようやく決断する顧客もいるので、様々な顧客検討シーンに合わせた場所の拡大が重要なテーマとなってきます。
また、メール→キャンペーンLP→ECサイトと、誘導する階層が深くなる度に紹介商品を増やしていく事で、商品の推奨に強弱をつける事ができます。すると、より戦略的な商品設定が可能となります。
「誘導メールをHTMLとテキストのどちらにするか?」といった事も重要な誘導設計の一つです。例えば、「キャンペーンの山となる配信タイミングでは訴求力が強いHMTLを配信し、その他の配信タイミングではテキストを配信」といった設計は、制作コストと成果のバランスを踏まえた誘導設計の一例と言えます。
顧客のニーズにあう商品情報を提供する「セグメント設計」
セグメント設計とは、「顧客の購入経験によりセグメントを分割し、メール・LP等で伝える情報をセグメント毎に出し分ける」という設計です。例えば、「セグメント分割した経験商品の条件に合わせて、紹介商品の設定をセグメント毎に変更する」といった設計がその一例です。少し例が抽象的なので、以下2つのセグメントのケースで、「紹介商品の設定」について説明します。
① 商品aを既に定期購入している顧客セグメント
② 商品aをお試しはしたが、まだ定期購入していない顧客セグメント
同じ商品aの購入経験を持つ顧客でもその購入状況によって、「紹介商品の設定」に以下のような違いが出てきます。
①のセグメントでは、商品aを追加購入する確率は低い為、商品aは紹介商品の設定から除外。
その代わり、「2品目の定期購入につながりやすい商品」を紹介商品として設定。
②のセグメントでは、商品aを定期購入する確率が高い為、商品aを一番初めに紹介しつつ、定期購入がよりおすすめとわかるような工夫(オファー設定や売場のデザイン)を行う。逆に、「スイッチの可能性ある商品」は、目移りされないように、紹介商品の設定から除外。
セグメントの設計では、「紹介商品の見直し」と「セグメント分割の細分化」の主に2つの取り組みによって、PDCAを回していく事になります。
「紹介商品の見直し」では、セグメント毎の商品購入状況を分析し、次のキャンペーンプランで商品紹介の優先順位の変更や追加・入れ替えを行います。結果がはっきり出る為、毎回ブラッシュアップがしやすいのが特徴です。
それに対し、「セグメント分割の細分化」は、毎回進められるものではないです。セグメント分割を細かくする程、増えたセグメント分の制作物の点数が増える為、制作コストが急拡大するからです。その為、顧客セグメント分割は、制作コストと成果のバランスを考えながら行う事となります。
各設計の優先順位はどう決まる?
これまで紹介した3つの設計によって、キャンペーン全体の成果は決まります。
以下の図のように、「B.誘導設計」と「C.セグメント設計」の掛け合わせにより、「1アプローチ(1通)あたりの成果」が決まります。そして、その成果が「A.配信設計」によって累積する事で、「キャンペ-ン全体での成果」が決まる事になります。
また、各設計が成果に与える影響の大きさは、A.配信設計→B.誘導設計→C.セグメント設計 の順番となる事が多いようです。
尚、メールCRM施策のPDCAは、以下のようなステップを踏んで、進めていく事になります。
- 設計視点毎の課題や伸び代を把握する。
- 次に、課題や伸び代の対応策をプランに落とし込む。
- そして、施策実施後も、設計視点毎に振り返りの分析を行い、次のプランニングへつなげる。
これらのステップで活用する各設計視点の優先順位は、上記の関係性や影響力の順番を踏まえた上で決めていく事となります。
今回ご紹介した3つの設計視点は、メールCRM施策のABテストを多用できないような環境の中であっても、構造的に課題を把握し持続的なPDCAをしていく為のフレームワークとなります。
メールCRM施策にもしお悩みを抱えていましたら、PDCAの第一歩として、まずは、「3つの設計視点で自社の過去の施策を整理・分析し、課題を抽出してみる」事から始めてはいかがでしょうか?
Profile
- 田中 瑞樹
- この記事は田中 瑞樹が執筆・編集しました。
Contact
ファーストデジタルの提供するサービスに関心をお持ちの場合には、ぜひ一度ご相談ください。
デジタルに精通したコンサルタントがビジネスの変革を支援します。
Recruit
ファーストデジタルは成長を続けており、やりがいのあるハイレベルなプロジェクトと
切磋琢磨できるチームメンバーがあなたのキャリアアップを加速させます。