2023.01.23

カスタマーエクスペリエンス(CX)とは?CX取り組みのメリットや事例

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カスタマーエクスペリエンス(CX)とは?CX取り組みのメリットや事例

「A社・B社ともに似たようなサービスを提供しており、どちらを選ぶべきか判断できずに困った」「最終的に、問い合わせ(相談)をした際の担当者の対応の良さで意思決定をした。」そんな経験をしたことはないでしょうか。


商品やサービスが溢れる時代において、機能的な価値だけでは差別化が難しく、カスタマーエクスペリエンス(CX)の重要性が高まっています。カスタマーエクスペリエンスとは、「顧客体験価値」のことであり、「CX」と表記されます。CXは、商品やサービスの購入や利用に関連する顧客体験のすべてを指します。

本記事では、CXへの理解を深め競合との差別化ができるようになるために、CX向上の取り組みによるメリットや、模範的な3つの事例を解説いたします。

カスタマーエクスペリエンス(CX)向上の取り組みによるメリット

リピーターの獲得

「購入した商品には満足だがスタッフの対応がネガティブに感じ、足が遠のいてしまった。」このような経験をしたことがある人は少なくはないはずです。


新規顧客の獲得はリピーター維持の約5倍のコストがかかると言われています。継続率向上のために優れたCXの提供は企業にとって不可欠と言えるでしょう。顧客が感動するほどのサービスを提供できている企業は多くはないですが、だからこそ、顧客が購入をする前後において、期待以上の満足度を与えられるような体験が求められています。

競合との差別化

筆者がリスキリングのために、ある社会人向けスクールを複数検討していた際、入学の決め手となったのが「入学前の個別相談におけるスタッフの対応の良さ」でした。


スクールの内容や料金は大きく変わらないため、ウェブサイトを見ただけではどこにすべきか決断できなかったのです。

入学を決めたスクールの場合は受講生に授業をしている講師の方が、筆者の抱える入学前に感じている不安、卒業後に実現したいことなどについて相談に乗ってくれ、アドバイスをくれるなど、親身になって対応してくれました。

その結果、筆者の不安を解消することができ、気持ちよく入学を決めることができました。

このように、いまは多くの商品やサービスのコモディティ化が進んでいるからこそ、機能やスペックを充実させるだけでは足りず、競合とは異なる感情的価値を提供することが必要となっているのです。

口コミによるブランド力の向上

人は何かに感動したとき、それを誰かに伝えずにはいられない生き物です。今やSNSでは毎日のように感動(もしくはその逆の)エピソードが投稿され、ネットニュースに取り上げられるほどの影響力があります。

このような背景から、企業は顧客による口コミの影響を無視できない時代となりました。ポジティブな内容よりもネガティブな口コミのほうが拡散しやすいため、企業としてはあらゆる顧客との接点において、ポジティブな体験をもたらすような価値を提供することが求められています。

アンケート等でも、前述のような社会人向けスクールを選ぶ際、消費者が重視する基準の一つとして、SNSでの口コミ評価の高さが挙げられているように、企業のSNS対策も必須となっていると言えます。

CXの模範的な3社の事例

ニトリ

家具やインテリア用品の販売で知られるニトリでは、新しい購買体験の提供として、「バーチャルショールーム」を公開しています。バーチャルショールーム上では、まるで店舗に自分がいるかのように自由に空間移動が可能となっており、気になる商品があれば、商品に近づいたり、サイズを計ったりすることができるから驚きです。さらに気に入った商品はそのままニトリネットに遷移して商品の購入ができるような仕組みになっています。話題性のある「バーチャルショールーム」があることで、新規ユーザーの利用が期待でき、次の来店へのきっかけや、ニトリネット利用のきっかけとなりそうです。


ちなみに、筆者は今年になってから自宅近くにニトリがオープンしたこともあり、定期的に買い物をしています。ただ、店舗が広いこともあり、目的の商品をなかなか見つけられないことが何度かありました。バーチャルショールームを利用すれば、実店舗の中で買い物をしているような感覚になるので、ベッドのような大きな買い物をする際は実店舗に行く前にまずはバーチャルショールームでベッドの売り場や商品の外観をイメージしておくと、実店舗での買い物もスムーズになりそうです。

また、バーチャルショールームと言えば他にも、水まわり製品などで知られる「LIXIL」や高級自動車ブランドの「レクサス」も提供しています。ウェブ上で検索してみると「感動した」「遊んでみた」などの口コミや動画がアップされているので、企業にとっては重要な顧客体験価値の提供と言えるでしょう。

スターバックス

カフェを「サードプレイス」と位置づけていることで知られるスターバックスは、顧客がお店で心地良く過ごせるような価値を提供しています。店内の雰囲気、落ち着くBGM、スタッフの対応などがCXを高めています。商品については、「見た目」「充実したメニュー」で他店との差別化を図っており、顧客に対して楽しさやワクワク感をもたらしています。


また、接客マニュアルがないことで、スタッフ自らが考えて対応をしていることが付加価値となり、高い顧客満足度につながっているのでしょう。既存顧客のリピート化に繋がる取り組みとして「スターバックス・リワード」というプログラムがあります。このプログラムでは商品を購入するとポイントが付与されたり、オンラインストア限定の商品を購入できたりと、会員だからこそできるスターバックスの楽しみ方が用意されています。


カフェを選ぶ時は「コーヒーの味」だけでなく、「お店の雰囲気」や「居心地の良さ」「スタッフの対応力」「ポイントが貯まる仕組みがある」などの理由で選ぶ人が今の時代は多そうです。

リッツカールトン

最高のラグジュアリーホテルと評されるリッツカールトンでは、徹底的な顧客管理が行われています。すべてのスタッフが顧客との応答履歴を書き留めるためのメモを所持しており、チェックインからチェックアウトまでの行動や、プロフィールや利用履歴、趣味・嗜好などが記録されています。その記録から役立つ情報が選別され、全世界のリッツカールトンのスタッフに共有される仕組みが整っています。共有された情報を活かし、次回ユーザーが宿泊した際には、はじめて対応するスタッフであっても顧客の好みに合わせたサービスを提供することができるのです。


また、顧客に最適なタイミングでサービスを提供するために、スタッフには普通の企業では考えられないような権限委譲がされています。

各スタッフには1日に2000ドルまでの決裁権限が与えられ、例えば顧客が大切な日をホテルで迎える際は特別なプレゼントを贈る、など自分の判断で顧客のためになる行動が取れるのです。


このようなスタッフ独自のおもてなしのサービスが提供されるからこそ、顧客感動を生み出すのでしょう。慣れない海外でのホテル選びは国内とは異なり難しいものですが、リッツカールトンのような最高峰ブランドであれば、どの国でもハイクオリティな宿泊体験ができるでしょうから安心感があります。

まとめ

このように、商品やサービスを利用する前から利用後のすべての期間において、顧客の体験価値を向上させるようなカスタマーエクスペリエンス(CX)向上の取り組みは、リピーターの獲得、②競合との差別化、③口コミによるブランド力の向上に繋がります。

事例として掲載した企業のような取り組みをすぐに取り入れることはできないかもしれませんが、まずは自社におけるカスタマーエクスペリエンスの現状を把握することから始めてみてはいかがでしょうか。

マガジン編集部
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この記事はマガジン編集部が執筆・編集しました。

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