2023.01.30

顧客を増やし利益を伸ばす2ステップマーケティングとは?

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顧客を増やし利益を伸ばす2ステップマーケティングとは?
インプットポイント
  • 2ステップマーケティングの内容
  • 2ステップマーケティングのメリット
  • 2ステップマーケティングに取り組む際の注意点

「2ステップマーケティング」という言葉を耳にしたことはありませんか?
2ステップマーケティングは、通販サイトなどで売上アップ効果が期待できる、重要なマーケティング手法です。昔からある手法ですが、この手法と相性のいいサブスクリプションサービスの需要が近年高まってきた事もあり、再び注目を集めています。

今回は、この2ステップマーケティングとは何か?なぜ効果が期待できる手法なのか?取り組む際に何に注意をすべきかについて、ご紹介します。

2ステップマーケティングとは?

2ステップマーケティングとは、まず商品のサンプルや試供品をユーザーに試してもらい、本商品の購入や定期購入の申込みへと繋げるマーケティング手法のことです。

  • 化粧品コーナーでサンプル商品を試してから商品を購入
  • 動画配信サブスクリプションの2週間お試し期間
  • 通販で定額のお試し商品を購入してから、後からその商品を定期購入

実は、これらすべて2ステップマーケティングを用いた販売手法です。

みなさんもよく見かけた事がある馴染み深い販売手法ではないでしょうか?「お試し→本購入/定期購入」という2つの段階(ステップ)を踏むことから、こうしたネーミングが付けられました。
一方、初めから本商品の販売やサブスクリプション・定期購入の本商品販売を目指すマーケティング手法を「1ステップマーケティング」と呼びます。2ステップマーケティングとの違いは、「お試し」が無いという点です。2ステップマーケティングに比べその場での売上に繋がりやすく、最も基本的なマーケティング手法といえます。


では、どうしてわざわざ余計なステップを踏んでまで、多くの事業者が2ステップマーケティングを取り入れるのでしょうか?一つの理由としては、近年のさまざまな規制や外部要因によりから、1ステップマーケティングによる新規顧客獲得が厳しくなっている現状があります。商品の良さを過剰に盛って伝えようとするあまり、薬機法違反や景表法違反、有名人の写真を無断で使用するなどのフェイク広告の温床にもなってきました。「お試しのつもりで申し込んだら、勝手に定期コース(サブスク)になっていた」などのトラブル報告も多く、関係省庁による取り締まりが強化されており、「1ステップマーケティング」は、もはやビジネスモデルとして限界を迎えているとも言えます。その為、1ステップマーケティングの限界の解決策として、2ステップマーケティングが注目を集める事になっているのです。

2ステップマーケティングのメリットとは?

ここからは、2ステップマーケティングのメリットを見ていきましょう。

1ステップマーケティングと比べて、以下ご紹介する5つの優位性があります。

1.購入/申込のハードルを圧倒的に下げられる

「お試し」というワンクッションがあることで、ユーザーは商品を購入しやすくなります。顧客が本商品の購入にためらう理由は、価格や使用時の不安感などです。いきなり本商品の高い価格で買った場合に、自分には合わないと損した気分になるでしょう。これが2ステップマーケティングにより不安が解消されるのです。ECでは店頭販売と違ってユーザーは商品を直接確認することができません。しかし、無料サンプルや、低価格のお試し商品を提供することで、ユーザーは「無料なら、これ位の価格なら、試してみようかな」と気軽に手に取ってくれる可能性が上がるのです。

このハードルの低さによって、圧倒的な数の「見込客」の集客が可能となります。

2.潜在層にアプローチできる

1ステップマーケティングで獲得できる顧客はニーズが顕在化した層がメインであるのに対し、2ステップマーケティングであれば、潜在層にもアプローチして「見込客」を集客する事が可能となります。潜在層のニーズを強引に顕在化させることが可能だからです。元々商品に関心がなかった人にも、ハードルが圧倒的に低い「お試し商品」を通して、商品に興味を持ってもらえるきっかけを作る事ができます。また、見込客の集客段階では、商品を売る事ではなく興味を持ってもらう事が主目的となる為、商品を過剰に良く見せようとする必要がなくなります。その為、潜在層を振り向かせやすい情報にコミュニケーションを集中できるので、より商品に興味を持ってもらいやすくなる環境を作る事ができるのです。
アプローチした潜在層が、お試し後に本商品を適正価格で購入/定期購入した顧客(本顧客)になれば、1ステップマーケティングでは本来獲得できなかった顧客を獲得できた事になります。

3.見込客に対してCRMができる

2ステップマーケティングでは、集客段階で取得した見込客の個人情報リストに対して、電話・DM・メール等によるCRM活動を通じて再アプローチする事で、「本顧客」に引き上げる確率(引上率)を高める事ができます。見込客の集客段階では伝えきれなかった情報を追加してあげる事で、見込客は商品体験と合わせてその情報を吟味するので、商品の良さや継続の必要性に気づきやすくなるからです。
お試し期間の商品体験とCRM活動の仕組みより、圧倒的な数の見込客リストから本顧客に引き上げていく為、最終的に獲得できる本顧客の母数は1ステップより比較的多くなる傾向があります。見込客のままでは利益は出ず、本顧客に引き上がって初めて利益を生んでくれる顧客となる仕組みである為、本顧客の母数の拡大が収益の拡大に直結していると言えます。

4.ユーザーの心理にアプローチできる

2ステップマーケティングでは、ユーザーの「単純接触効果」と「保有効果」という心理的効果を期待する事ができます。
「単純接触効果」とは、複数回接触していくうちにポジティブな印象を持つようになることです。2ステップマーケティングは1ステップマーケティングよりも接触回数が多い為、商品やブランドに対して好印象を抱いてもらえる可能性があります。

また、「保有効果」とは自分が保有しているものに対して高い価値があると感じ、手放すことに抵抗を感じることです。得られた体験によって価値が向上するのではなく、ただ所有しているという事実だけでユーザーの心のなかではその商品の価値が上がります。ユーザーにこれらの心理的効果が働く為、本顧客への引上により繋がりやすくなります。

5.ビジネス効率の向上に繋がる

ここまでで「2ステップマーケティングがユーザーにアプローチしやすく本顧客を獲得しやすい仕組みなのは分かった。しかし、そんなに『お試し』で初期投資をして1ステップマーケティングより利益は出せるのだろうか?」という疑問を持った人もいるのではないでしょうか?結論から言えば、そういったビジネス効率の向上も期待できます。“CPO(Cost Per Order)”と“LTV(Life Time Value)”という2つのビジネス効率を図る指標から、その傾向を見ることができます。
CPO(Cost Per Order)とは、本商品の注文1件ごとにかかる費用を指します。「(見込客ではなく)本顧客を一人獲得するのにかかる販売コスト」と言い換えられます。利益を左右する本顧客獲得の費用対効果を表す指標の為、CPOが抑えられる程、投資効率が高いと言えます。2ステップマーケティングでは、1ステップマーケティングに比べて、CPOを抑制しやすい傾向があります。それはハードルの低いオファーで圧倒的な数の見込客を獲得し、その後の本顧客の引上に繋がりやすい仕組みが整っているからです。

LTV(Life Time Value)とは「顧客生涯価値」と言われるもので、一人の顧客が一定期間に企業にもたらす利益(売上や利益)のことを指します。LTVはCPOの許容金額の設定に使われる為、LTVが高いほど多くの販売コストをかける投資が可能となります。2ステップマーケティングでは、1ステップマーケティングに比べ、このLTVが高い傾向にあります。これは、ユーザーが実際に商品を使って価値を感じてから購入しているので、定期購入してからの継続率が高くなりやすいからです。

CPOが低く、LTVが高い2ステップマーケティングは、長期的に見れば売上と利益を最大化できる優秀なビジネスモデルと言えるのです。

2ステップマーケティングに取り組む際の注意点とは?

多くのメリットをご紹介してきた2ステップマーケティングですが、決して万能というわけではありません。

そこで、ここではデメリットも紹介しつつ、取り組む際の注意点やヒントをご紹介していきます。

1.向いていない商品がある

「単価が低い商品」は、元々購入のハードルは低いため向いていません。また、「使い切りで再購入が必要ない商品」も、2段階にできないので向いていません。販促したい商品がそもそも2ステップマーケティングに向いているかの見極めが最初に必要となります。

2.利益が出るまで時間がかかる

本商品が売れないと利益を出せない構造の為、利益が出るまでに時間がかかります。その為、本商品が売れる前提でなければ2ステップマーケティングが使えないというデメリットがあります。
先にあげたCPOやLTVといった事業指標をきちんと把握し綿密な事業計画を立て、利益が出るまでの時間を容認する経営判断を行う必要があります。

3.1ステップマーケティングよりCPOが悪くなるケースもある

いつでも1ステップマーケティングよりCPOが必ず良くなるという訳ではありません。
例えば、顕在層にアプローチに限定したリスティング広告やリターゲティング等の流入経路では、1ステップマーケティングの方が有効な場合があります。そういった場合、流入経路の種別に合わせて、手法を使い分ける戦略が必要となります。
また、2ステップマーケティングが本来向いているような流入経路であっても、本顧客への引上率が悪い事で、1ステップマーケティングよりCPOが悪化するケースもあります。これは、集客段階と引上段階の両方のフェーズのコミュニケーションにそれぞれ問題がある場合に起こりやすくなります。その場合、集客と引上のバランスの最大化を目的として、「各フェーズで、どの情報を、どれ位の割合で伝えていくか」というコニュニケーション設計を緻密に行う事が解決の糸口となります。このコミュニケーション設計には、有効なフレームワークがありますので、また別の機会にご紹介できればと思います。

まとめ

本記事では、2ステップマーケティングの内容からメリット、活用上の注意点について説明してきました。2ステップマーケティングとは、新規顧客に対して本購入を促す前に、試供品や無料期間などを使って段階的にアプローチする方法です。直接的に接客することができないECサイトとの相性は良く、上手く活用すれば売上や収益を大きく伸ばすことができます。身近なマーケティング方法で効果も高いので、メリット・デメリットを十分に把握した上で、ぜひ導入してみてはいかがでしょうか?

Profile

田中 瑞樹Consultant
一橋大学卒業後、2000年P&Gファーイースト・インクに入社。アシスタントブランドマネージャーとして新商品のコンセプト開発に従事。2002年ダイレクトマーケティングに強みを持つ広告会社の株式会社大広に入社。営業を2年、マーケティングリサーチャー・ストラテジープランナー2年の職種経験を経て、2006年より大⼿健康⾷品通販クライアントの専属デジタルチームのリーダーに着任。以降、約11年間チームを牽引しつつ、「新規顧客獲得販促活」から「顧客育成のCRM活用」まで幅広い範囲のデジタルマーケティング活動に関して、戦略策定・メディアプラン作成・施策開発等に従事。2017年から株式会社ファーストデジタルにジョイン。
田中 瑞樹
田中 瑞樹
この記事は田中 瑞樹が執筆・編集しました。

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