デジタルはもう時代遅れ?これからのマーケティング戦略について
- インプットポイント
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- 現在のマーケティング動向と手法を理解する
- これからのマーケティング戦略の全体について考える
- デジタルマーケティングに捕らわれない考え方をもつ
弊社はデジタルマーケティングに関するDX化支援を行うプロジェクトに参画させていただくことが多いですが、先日あるプロジェクトでとても興味深い結果が得られました。データを活用したOne to One対応によりECサイトへ誘導しWeb購買まで完結させるプラットフォーム検討のコンサルを依頼されプロジェクトに参画させていただきましたが、そのプロジェクトで調査した他社企業が、リアルでの顧客対応を重視した施策を実施し好調なマーケティング成果を出しているようだったのです。現代のマーケティングはデジタル施策をうまくやることが成功の鍵と思っていましたが、もうそのような時代は過ぎ去っていて、私たちは次のフェーズの戦略を検討しなければならないところに来ているようです。
この記事では、リアル対応含めた今後のマーケティング戦略について論評しようと思います。
- INDEX
デジタルマーケティングには限界がある
デジタルマーケティングは2000年頃から注目されはじめ、時代が進むとともにあらゆる企業がデジタルマーケティングに参画し、現在はデジタルマーケティングをしていることが“当たり前”の時代になってきています。そのため、訴求したい分野・商材に興味のある顧客を獲得するためにコンテンツマーケティングから興味喚起を行い、顧客のデータを収集してOne to Oneのレコメンドをして、、、と一連のデジタルマーケティング施策を実行することはもちろん重要なのですが、競合が多いためそれだけで他社と差別化し、購入までモチベーションを上げていくことは難しくなってきていると感じます。
また、売りたいサービスにもよりますが、そもそもWebコミュニケーションのみではリアルに比べて顧客のモチベーションがアップしにくいと言われています。ひと昔前は、リアル中心に営業が足を使って顧客とのコミュニケーションを行い契約獲得していたため、実際にサービスの良さを伝え、顧客の疑問や不安にリアルタイムに応え、営業の熱意も伝えることができていたので、リアルでは1顧客への働きかけに対して契約に至る確率が高かったことに対して、デジタル上でそこまでの顧客対応をすることはもちろん難しいので、デジタルのみでの顧客対応に限界があることは用意に想像できます。一方では、顧客がリアルのみからデジタル上での情報収集がメインになってきていることも事実なので、デジタル上での施策を止めることはできません。
では、昨今のマーケティングではどのように施策を打っていけば良いのでしょうか。
今後のデジタルマーケティング方針と具体的な施策について
ここまでの流れから想像できると思いますが、昨今ではリアルと融合したマーケティングを行うことが重要になってきます。デジタル施策では顧客対応が頭打ちになってしまうので、それ以上の顧客対応をリアルとうまく融合・連携し対応していくイメージです。デジタル・リアル対応合わせたマーケティング施策全体を顧客の購買ファネルにマッピングした参考図を以下に記載いたします。
【デジタル・リアル施策の連携対応】
まず初めに顧客がサービス/企業を認知する入口として、コンテンツマーケティングやSNS配信、Web広告などのデジタル施策は、顧客がWeb上で情報収集している以上、非常に有効な施策になってくると思います。昨今のマーケティングでは、顧客のデータ取得/活用が可能になってきたこともあり、Webから流入した顧客をデジタル対応の中で購入までフロースルーで完結させることを目指すことがTobeとされてきたと思いますが、そのデジタルのみの対応では限界があるので、Webに流入した顧客を逆に店舗/営業/イベントへ流し、購入へのコンバージョン率の高いリアルでも顧客対応を行う必要があります。(そのままWebで購入まで完結する顧客はいいですが)
逆に、顧客対応をずっとリアルで対応し続けるにはコストがかかりすぎるので、営業等リアルで対応していた顧客を、利活用・満足度向上フェーズではWebコンテンツメインで対応していくなど、運用を考慮してWebとリアルで上手く役割分担・連携しながら対応する必要があります。
【デジタル・リアル融合施策での対応】
熱意を伝えにくい「デジタル施策」と、コストがかかる「リアル対応」の良いとこ取りをしたような施策が「デジタル・リアル融合施策」だと思っているのですが、ここで融合施策と言っているのは、デジタル上での施策であるが中で人的にリアル対応している、または逆にリアル上での施策であるがデジタルを活用した顧客体験である施策を意味しています。
どういうことかというと、例えば今時のSNS配信でも、YouTubeやInstagramでのライブ配信(デジタル上)で配信者とユーザー側のリアルタイムでのコミュニケーション(リアル対応)を行うなど、複数の顧客に対応しながらリアルタイムで顧客の疑問や課題を解決する手法が身近な良い例だと思っていて、顧客体験/ニーズを意識し、手厚い対応が必要な部分のみリアル世界を混ぜ込んだデジタル・リアル融合施策が重要になってくると思います。
事例①:Googleの従来型ローカル企業への戦略
GoogleがあらゆるSaaSサービスを提供していることは周知のことだと思いますが、ITリテラシーの低い傾向のある従来型のローカル企業にも、自社のSaaSサービス提供を行っています。Grow with Googleという、あらゆるデジタルスキルの習得をサポートする取り組みを実施しており、ユーザーにそういったWeb上のあらゆるコンテンツ(読み物、動画、トレーニング等)で得たい知識の獲得をさせつつ、そこからリアルのセミナー申し込みへ誘導しています。コンテンツからWeb上でそのまま購買へ繋げるよりかは、リアルセミナーを充実させ、リアルを含めた顧客対応を実現しているのです。
また、従来型のローカル企業は首都圏より地方に多く存在していることから、顧客を各地域の会場に収集し、メインの講演者はウェビナー形式で画面を映しオンラインでセミナーを行い、一方会場にはサービスに詳しい販売代理店を派遣させておき、セミナー終了後にすぐに営業に相談できる体制でITリテラシーの低い顧客の対応を行っているようです。
Web上で対応しつつ、顧客のリテラシーに合わせて営業がリアルタイムで対応する、とてもいい手法だと思います。
※参考1:https://grow.google/intl/ALL_jp/
※参考2:https://news.mynavi.jp/techplus/article/20180402-gjob/
事例②:Amazonの最新テクノロジーを利用した実店舗販売
「Amazon Style」は、レディースとメンズのアパレル、シューズ、アクセサリーを扱うAmazon初のファッション実店舗です。何百ものブランドを取り扱い圧倒的な品揃えを提供しますが、消費者は店舗で棚を探し回る必要が無いそうです。
店頭品の近くにQRコードを設置し、スキャンするとAmazonのショッピングアプリが立ち上がり、商品のサイズ、カラー、総合評価、その他商品詳細を確認し、試着したい商品を選択するとフィッティングルームに送るシステムを実現しているため、顧客はリアルに商品を目で見て試しながら、洋服を選ぶときに面倒だった「自分の好みの商品を探す」時間と手間を大幅にカットできます。また、スタイルやフィット感などの情報を登録するとデータに基づいた最適なレコメンデーションを受けることができ、リアルで買い物しながらパーソナライズされたデジタル接客を受けることができます。
リアルに必要な体験の役割を店舗に持たせ、その他の手間は全てデジタル化しスマートな対応を実現しているのです。
※参考3:https://netshop.impress.co.jp/node/9600
まとめ
実際にコンサルティングをしていると、クライアントはまだこのことに気づいていないといいますか、ここまでの考えにたどり着いていない印象があります。デジタルマーケティングの有効性が認知され、施策を着手し始めている企業が増えている一方で、マーケティング先進企業ではデジタルマーケティングを当然の前提として、さらにその先のリアル対応との融合まで実現が進んでいます。
今後デジタルマーケティングに取り組んでいこう、という企業においては、デジタルだけでなくリアルでの顧客体験まで含めた総合的なマーケティング戦略を描く必要があると考えています。
長くなりましたが、ここまでお読みいただきありがとうございました。
- マガジン編集部
- この記事はマガジン編集部が執筆・編集しました。
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