2023.03.28

2ステップマーケティングを攻略するコミュニケーション設計とは?

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2ステップマーケティングを攻略するコミュニケーション設計とは?
インプットポイント
  • 2ステップマーケティングのメリットと注意点のおさらい
  • 2ステップマーケティングに効くコミュニケーション設計のフレームワーク
  • コミュニケーション設計で意識すべき2ステップマーケティングの特徴

今回は、以前ご紹介した「顧客を増やし利益を伸ばす2ステップマーケティングとは?」の続きとして、2ステップマーケティングで意識すべきコミュニケーション設計の考え方 について、ご紹介したいと思います。

2ステップマーケティングは、売上アップ効果などメリットの多い重要なマーケティング手法ですが、決して万能というわけではありません。うまく活用するには注意点があり、特にコミュニケーションが攻略の鍵を握っています。

今回は、コミュニケーション設計を考える上で有効なフレームワークをご紹介し、そのフレームワークを通じて意識すべきポイントについてお伝えできればと思います。

2ステップマーケティングのメリットと注意点のおさらい

本題の入る前に、前回ご紹介した2ステップマーケティングの特徴について、少し振り返りたいと思います。

2ステップマーケティングとは、まず商品のサンプルや試供品をユーザーに試してもらい、本商品の購入や定期購入の申込みへと繋げるマーケティング手法のことです。

2ステップマーケティングのメリットとして、以下の5つの特徴を前回はご紹介しました。

  1. 購入/申込のハードルを圧倒的に下げられる
  2. 潜在層にアプローチできる
  3. 見込客に対してCRMができる
  4. ユーザーの心理にアプローチできる
  5. ビジネス効率の向上に繋がる

一方、2ステップマーケティングにはデメリットもあり、以下3つの注意点を前回はご紹介しました。

  1. 向いていない商品がある
  2. 利益が出るまで時間がかかる
  3. 1ステップマーケティングより効率が悪くなるケースもある

メリットをうまく活用し、1ステップマーケティングよりも効率を上げるには、緻密なコミュニケーション設計が重要となっていきます。

次章からは、コミュニケーション設計を考える上で有効なフレームワークをご紹介したいと思います。

コミュニケーション設計の前提となる“価値評価の水”

今回ご紹介するフレームワークは、“価値評価の水”という考え方です。

顧客は、広告等のコミュニケーションを通じて商品に対して、頭の中で様々な価値評価をしていきます。例えば、以下のような価値評価です。

  • 私の悩みを解決してくれるかもしれない。
  • 悩みを解消してくるには、ちゃんとした理由があるみたい。
  • こんな風になれるなんて憧れる。うらやましい。
  • 自分と似たような人も「すごくいい」と言っている。
  • ちゃんとした大手メーカーの製品だから安心できる。

「顧客の頭の中を一つのコップと捉え、このコップの中に価値評価の水が溜まっている。」とイメージする考え方が、“価値評価の水”というフレームワークです。

下の図1は、“価値評価の水”が溜まっていく顧客の頭の中のイメージを表しています。 “価値評価の水”が「この価格なら買ってもいい」という基準ラインが超えた事で、この顧客は購入を判断しています。

図1:“価値評価の水”が溜まっていく顧客の頭の中

コップと水を意識する事で、「購入に繋げるには、どのような価値評価の水がどれ位必要なのか?その為には、どの段階で、どういった情報を伝えるべきか?」という事がイメージしやすくなります。
これにより、2ステップマーケティングのコミュニケーション設計を考えるヒントとなるのです。

“価値評価の水”で考えてみる2ステップマーケティングの3つの特徴

それでは、先程紹介した“価値評価の水”のフレームワークを使って、コミュニケーション設計で注意すべき2ステップマーケティングの3つの特徴について、ご紹介していきます。

アクションを決めるのは“価値評価の水”の量

2ステップマーケティングにおいて、顧客の商品に対するアクションは「買う」だけではありません。試す/買う/続ける という重要なアクションが全て伴って、2ステップマーケティングのビジネスは成り立っています。 そして、これらの各アクションを判断する基準は、価値評価の量で決まります。

下の図2は、単品通販ビジネスを例に、それぞれのアクションに必要な“価値評価の水”の基準ラインについて表したイメージです。

図2:試す/買う/続ける 各アクションに必要な価値評価の量

コミュニケーションで注意したい点としては、「最初のお試し集客段階で、過剰に価値評価の水を入れすぎる必要はない」という点です。フォローアップ段階で、買う/続けるに必要な価値評価の水を追加できるからです。集客段階から、つい商品情報を盛り込みがちになってしまい、かえってサンプル申し込みのCVRが下がってしまう という事はよくあります。例えば、ユーザーはLPの早い段階で「商品の特徴もわかったので、無料なら試してみたい」という気持ちにすでになっているのに、申し込みに進むボタンがなかなか現れず、うんざりして離脱してしまう というケースです。 もちろん、お試しサンプル申し込みのユーザー全てにフォローアップができる訳ではないので、「無料なら試したい」という価値量をギリギリ超えるコミュニケーションでは、次のアクションに繋がらない事もあります。その為、フォローアップで追加可能な“価値評価の水”の量を意識して、コミュニケーションを設計する事も大切となってきます。

価値評価を増やすのは “体感”と ”知識”

顧客の価値評価の水を増やす要素として、“体感”と“知識”の2種類があります。これらを意識してフォローアップのコミュニケーションを設計する事が、買う/続けるといったアクションには重要になってきます。

下の図3では、フォローアップ段階での“価値評価の水”の変化を表したイメージです。

図3:価値評価の水の増やす“体感”と“知識”

ここで意識したい特徴は、以下の3つです。

  1. “体感”は、増やせる水の量は多いがコントロールが難しい
  2. “知識”は、“体感”より増やせる水の量は少ないが、コントロールが可能
  3. 溜めた価値評価の水は、時間と共に抜けていく

1と2はバランスを見極めて、コミュニケーションの設計する事が大切です。

例えば、体感の弱い商品は、根拠となる商品情報の追加提供が重要になってきます。逆に、体感の強い商品は、効果を感じやすいタイミングを意識させる工夫が大切になってきます。

また、3で抜けていく水の内容がわかれば、フォローアップコミュニケーションで補う事で、定期離脱(定期コースの解約)の防止につなげる事が可能です。その為、定期解約理由などの離脱顧客の声を分析する事が重要になってきます。

特別価格の設定 ≠ 価値評価の水を増やす

「特別価格の設定」という値引き行為は、顧客のアクションを背中推しする重要な役割があり、確実にアクションする人数を増やします。しかし、本来、“価値評価の水”を増やすものではありません。強すぎる特別価格の設定は、かえってその後の継続を妨げる悪影響を与えるケースもあるのです。

下の図4は、フォローアップ段階での強すぎる特別価格の設定が定期離脱の要因になってしまうケースの価値評価の様子を表したイメージとなります。

図4:特別価格の設定が強すぎる場合の価値評価

特別価格の値引きが強すぎると、「ずっと続けてもいい」と思っていなくても、「何回か買ってもいい」と思っている人にまで、強引に定期購入の判断させてしまいます。本来定期購入に必要な価値量を満たしていないので、後から定期離脱につながりやすくなるという訳です。

特別価格の設定によって、超えるべき価値量の基準が変わってしまう為、コミュニケーション設計の前提が大きく変わります。その為、できればフォローアップ施策を組み込む早い段階で、特別価格のテストをして最適な金額設定を見極める事が望ましいと言えます。

まとめ

本記事では、2ステップマーケティングのコミュニケーション設計する際に注意すべき考え方について説明してきました。顧客へアプローチできるフェーズが、集客/引上/囲い込みと複数存在する為、「各フェーズで、どういった情報を、どれ位の割合で伝えていくか」というコニュニケーションの設計がより複雑になってきます。その為、各フェーズのバランスの最適化を意識した緻密な設計が重要となります。今回ご紹介したフレームワークによって、各フェーズのコミュニケーション設計を見直す事から始めてみてはいかがでしょうか?

Profile

田中 瑞樹Senior Analyst
一橋大学卒業後、2000年P&Gファーイースト・インクに入社。アシスタントブランドマネージャーとして新商品のコンセプト開発に従事。2002年ダイレクトマーケティングに強みを持つ広告会社の株式会社大広に入社。営業を2年、マーケティングリサーチャー・ストラテジープランナー2年の職種経験を経て、2006年より大⼿健康⾷品通販クライアントの専属デジタルチームのリーダーに着任。以降、約11年間チームを牽引しつつ、「新規顧客獲得販促活」から「顧客育成のCRM活用」まで幅広い範囲のデジタルマーケティング活動に関して、戦略策定・メディアプラン作成・施策開発等に従事。2017年から株式会社ファーストデジタルにジョイン。
田中 瑞樹
田中 瑞樹
この記事は田中 瑞樹が執筆・編集しました。

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