CRM施策・戦略の見直しに役立つフレームワークとは?
- インプットポイント
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- 顧客リスト活用を最大化させるフレームワーク “顧客マトリクス”
- “顧客マトリクス”を活用するメリット
今回は、以前ご紹介した「顧客を増やし利益を伸ばす2ステップマーケティングとは?」に関連して、顧客リスト活用を最大化する為のフレームワーク についてご紹介したいと思います。
2ステップマーケティングにおいて、顧客リストを有効活用したCRM活動は、ビジネスの成否を左右する生命線となる活動です。しかし、顧客リストに対して最適と思われる施策を実行/改善を行ってきたつもりでも部分最適になってしまい、以下のような悩みを抱えるご担当者は多いようです。
- 抜け漏れなくCRM施策が実行できているかわからない。できていない気がする。
- 初期購入のエントリー段階の顧客へのCRM施策は積極的に行っているが、継続客へのCRM施策をどこまで続ければ良いかの判断がつかない。
- 時間が経ってしまって機能しなくなった顧客リストばかりが増えているように感じる。
今回は、そういったお悩みに対して、CRM施策/戦略を見直す際に役立つ顧客リスト活用のフレームワークをご紹介していきます。
“顧客マトリクス”という顧客リスト整理のフレームワーク
今回ご紹介するのは、“顧客マトリクス”という顧客リスト整理のフレームワークです。
2ステップマーケティングでは、商品の購入状況に応じて、以下のような顧客区分で顧客リストを管理しています。
- お試し顧客:お試しサンプルを購入した/申し込んだ顧客
- 単品顧客:商品を定期コースに入らずに、都度単品購入した顧客
- 定期顧客:定期コースで商品購入をしている顧客
- 休眠顧客:定期コースを解約した顧客
更に、上記1〜4の大分類区分のそれぞれに対して、リーセンシー(前回の購入から経過した期間)や、フリークエンシー(これまで購入した回数)という観点で細分化して、細かく管理している事業社がほとんどです。
上記のような管理手法では、顧客リストのコンディション把握は細かくできるものの、細かすぎて俯瞰での把握が難しかったり、CRM施策/戦略の見直しに繋げ辛かったりといった問題がありました。今回の“顧客マトリックス”というフレームワークでは、以下2つの軸のマトリクスで顧客リストを整理する事で、俯瞰的に顧客リスト状況を把握し、CRM施策/戦略に繋げやすくするものとなっています。
- 横軸:各顧客区分の「商品の継続意向」の段階
- 縦軸:「商品の購入状況」による顧客区分
下の図1は、2ステップマーケティングの単品通販事業を例にした“顧客マトリクス”となります。
①がこれまでの管理になかった新たな視点となります。顧客モチベーションという要素が加わる事で、CRMで起きている事象の仮説が立てやすくなり、CRM施策/戦略につながりやくなるのがポイントです。
②は、細分化しすぎない事がポイントとなります。定期・単品・お試し・離脱休眠という大分類と、1つ〜3つの中分類の分割で構成されています。また、①のモチベーションの違いにより、②の中分類をどこまで細分化するかも決まります。例えば、定期顧客・単品顧客は、初回購入とリピート購入で①のモチベーションに差があり、この壁を越えるかどうかが大きな分岐点となる為、2つに分割しています。
「離脱休眠」という大分類区分も、この①の軸のポイントの1つです。定期休眠顧客だけでなく、お試し顧客・単品顧客も、定期引上CRM施策終了後にリピートがない顧客は、「離脱休眠」と定義しています。また、離脱客と休眠客を以下のような定義で分けています。
- 離脱客:商品リピートの可能性がまだ残っている顧客
- 休眠客:商品リピートの可能性がほとんどない顧客
これらの区分により、「離脱客には『同一商品のリピート』を目的としたCRM施策を検討するが、休眠客には『商品スイッチ』を目的としたCRM施策を検討する」という判断がしやすくなります。
“顧客マトリクス”では、①・②の項目の並びにも、特徴があります。
図2は、その並びの特徴を図1に追加したものです。
①の継続モチベーションですが、初回購入からの経過期間といった時間軸と対応できるようにしています。その為、プロダクトライフサイクル(導入期→成長期→成熟期→飽和期→衰退期)を参考に、5段階(初回お試し→継続検討→継続定着→継続困惑→継続断念)で変化を定義しています。
②の顧客区分は、「商品に対する価値評価」の大きな順で、上から並べています。これらの顧客の順番は、今後期待される売上、今後のLTV(Life Time Value)ともいえます。「離脱休眠」の中分類が、定期・単品・お試しをルート別に分割しているのは、商品に対する価値評価の大きさが異なるからです。
これまで、“顧客マトリクス”の定義や特徴をご紹介してきましたが、次章ではこのフレームワークの具体的な活用方法やメリットについて、詳しくご紹介していきます。
“顧客マトリクス”活用の3つのメリット
先程より紹介してきた“顧客マトリクス”ですが、活用によるメリットは3つあります。
1.CRM施策の不足の可視化
下の図3は、“顧客マトリクス”でプロットした顧客区分に、区分間の動きである「ライフコース」を追記したものです。「アップのライフコース(赤ライン)を太くし、ダウンのライフコース(青ライン)を細くする」事が、CRM活動の基本命題といえます。
これらライフコースのひとつひとつにCRM施策が整備されているかをチェックする事で、施策の抜け漏れがないかを確認する事ができます。
2.顧客リストの俯瞰的コンディション把握
下の図4は、図3のライフコースに大きさの数値を追記したイメージとなります。
ライフコースの数値化により、顧客リストの俯瞰的なコンディション把握ができる為、どのライフコースが強い/弱い、CRM施策の弱点がどこにあるかといった事がわかるようになります。
そして、より数値が大きい所のCRM施策の優先順位を上げたり、他商品の“顧客マトリクス”と比較して極端に数値が低いライフコースはCRM施策を見直したり、といったCRM施策の優先順位付けがしやすくなります。
3.CRM施策プランニングのヒントの獲得
CRM施策の追加/改訂にあたって、施策で対応するライフコースが規定されます。ライフコースで考慮すべき「商品の価値評価」と「商品の継続意向」を“顧客マトリクス”で確認する事で、プランニングのヒントを得る事ができます。
以下、「定期離脱顧客・お試し離脱顧客向けのCRM施策検討」を例にご説明します。
下の図5は、CRM施策検討用に、ライフコースの記載を絞り込んだ“顧客マトリクス”となります。
これにより、プランニングで考慮すべき「定期離脱顧客とお試し離脱顧客の違い」を確認できます。
- ゴールとなる顧客区分が異なる。
- スタート地点での「商品の価値評価」が異なる。
- CRM施策で伝えるべき情報量が異なる。
上記のようなポイントを踏まえると、施策セグメントの設定、誘導するゴールの設定、施策クリエイティブで訴求する情報の設計等のプランニングがしやすくなります。
まとめ
本記事では、2ステップマーケティングを例にして、「顧客リスト活用を最大化するフレームワーク」ついてご紹介してきました。昨今のデジタル環境の発達により、顧客リスト活用によるCRMは、2ステップマーケティングに限らず重要なテーマといえます。今回ご紹介した“顧客マトリクス”の考え方を元に、顧客リスト管理方法、活用状況を見直す事から始めてみてはいかがでしょうか?
Profile
- 田中 瑞樹
- この記事は田中 瑞樹が執筆・編集しました。
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