新人コンサルタントにおすすめのIT系国家資格と実際に取得した方法
- インプットポイント
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- 新人コンサルタントがITパスポートを取得する3つのメリット
- ITパスポート試験の概要と合格基準
- 筆者がITパスポートを取得した方法とおすすめの勉強法について
あなたがIT系のコンサルタントとしてこれから働きたいと思っている、もしくはすでに働いているとしたら以下の問題に8問以上正解できるだろうか?もし正解できない場合は、本記事でおすすめする国家資格のITパスポート(経済産業大臣が実施する情報処理技術者試験)に関する学習と取得をおすすめしたい。
なお、これから掲載する問題のほとんどが、ITコンサルタントとして働く筆者がこれまでに経験したプロジェクトや、研修で実施されたテストの中で必要となった知識である。
Q1:グリーンIT、SDGsとは?
Q2:職能別組織と事業部制組織の違いとは?
Q3:売上総利益、販管費、営業利益の求め方は?
Q4:特許権、実用新案権、意匠権、商標権の違いとは?
Q5:PPM(プロダクトポートフォリオマネジメント)とは?
Q6:M&Aとアライアンスの違いとは?
Q7:オンプレミス、ハウジング、ホスティングサービスとは?
Q8:ソフトウェアライフサイクロプロセス(SLCP)5つのプロセスとは?
Q9:情報セキュリティマネジメントの三大特性とは?
Q10:eKYCとは?
いかがだっただろうか。ある程度、普段から学習する習慣がある方やIT系の知識に詳しい方であれば8割以上の正解は容易だったかもしれない。しかし、以前の筆者のように社会人になってからほとんど勉強してこなかった方や、非IT系の方には難しく感じたのではないだろうか。
ITパスポートは国家資格ではあるが、IT系資格としては入門編であり、勉強すれば取得できるので資格としての価値は高くないかもしれない。しかし、IT業務に必要とされる知識を幅広く網羅的に学習するきっかけとしてはかなり有効なので、本記事でITパスポートの概要や取得した方法について解説させていただくことにした。
新人コンサルタントがITパスポートを取得する3つのメリット
メリット1.業務に直結する知識が身につく
筆者の前職の業務は主にマーケティングであったが、マーケティング自体には学生時代から興味があったので、関連書籍を自ら読むような習慣は自然と身についていた。また、知らない知識は検索などで補うことで特に業務に支障をきたすようなことはなかった。
しかし、ファーストデジタルに転職してからは初めてのコンサルタント職であり、前職とは比べものにならないくらいの知識が求められていることを痛感した。例えば、クライアントの販促を支援する案件ではレポーティングの際に売上総利益や販管費などの財務に関する知識が必要とされたし、CMS導入支援のプロジェクトでは、データベースやセキュリティに関する知識を知っていることを当然としてMTGが実施されるので、始めはMTGの内容を理解するだけでも精一杯だった。
このような状況だったため、体系的にITに関する知識を学びたいと思ったのが、筆者がITパスポートを取得しようとした主な動機である。
もちろん、知らない知識は検索すればすぐに意味はわかるが、MTGの場でいちいち検索なんてしていたら理解が追いつかないし、レポーティングの際も知らない言葉だらけでは、業務効率はかなり落ちてしまう。
重要なのは業務に直結するような知識を瞬時に理解したりアウトプットしたりできる力である。そのきっかけの1つとなるのがITパスポートの取得だ。
メリット2.幅広い分野の基礎知識を学ぶことができる
ITパスポートの試験では主に3分野からの出題となっている。
- ストラテジ系分野(企業と法務、経営・システム戦略など)
- マネジメント系分野(開発技術、プロジェクトマネジメントなど)
- テクノロジ系分野(コンピュータシステム、技術要素など)
上記のどれか1分野であればこれまでの業務経験などでカバーできるかもしれないが、3分野の全てにおいて業務経験のみで、詳しい知識を有する人というのはなかなかいないのではないだろうか。
筆者の場合は、ストラテジ系分野についてはこれまでの経験からある程度の知識があったが、マネジメント系分野とテクノロジ系分野についてはどちらかというと苦手ということもあり、ほとんど分からなかった。しかし、ITパスポートの学習を通して基礎知識は身につけることができたので、普段のコンサルタント業務を進める上で非常に役に立っている。
メリット3.自ら学ぶことが習慣になる
3つのメリットの中で最も伝えたいのがこちらである。学生時代は自主的に学ぶことが当然だったが、社会人になってから全く学習しなくなってしまった人というのはかなり多いのではないだろうか。ある調査によると、社会人の7割は自ら学ぶ習慣を持っていないそうだ。つまり、普段から自主的に学ぶ習慣があるだけで、残り3割の学び続ける社会人になることができるのである。
以前の筆者は「社会人は資格よりも業務経験や実績がすべて」という考えだったこともあり、普段から読書はしていたが資格取得の学習は全くしたことがなかった。しかし、自分に興味があったり業務に関連したりする知識しか学ばなかった結果、マーケティング以外の社会人として知っていて当然とされるような知識のほとんどを学習せず、今に至ってしまった。
このように、ITパスポートは業務とは直接関係はしないが、IT社会を生きる上で知っておくべき知識を効率的にインプットすることができる点でおすすめしたい。
また、自ら学ぶ習慣というのは、一度身についたら次のステップにも繋がる。筆者はITパスポートの取得をきっかけに、さらに上位資格の取得をしたいと思い、いまも学習を継続することができている。
ITパスポート試験の概要と合格基準
ITパスポート試験は受験資格がなく、誰でも受験可能である。受験料は5,700円(税込)で、全国にある試験会場でCBT方式というコンピュータを使った試験が毎週実施されている。近年は人気資格となっているので、数カ月先まで予約ができないような状況のため受験を決意したらすぐに申し込むことをおすすめしたい。
試験内容は全100問が択一式で制限時間は120分となっている。国家資格ということもあり試験会場はかなり厳重で、入室の際は本人確認や持ち物チェックなどが実施される。合格基準は以下の2つの条件を両方とも満たす必要がある。
<条件①>
全体で60%以上に正解すること
<条件②>
各分野でそれぞれ30%以上に正解すること
- ストラテジ系分野(企業と法務、経営・システム戦略など):30%以上
- マネジメント系分野(開発技術、プロジェクトマネジメントなど):30%以上
- テクノロジ系分野(コンピュータシステム、技術要素など):30%以上
ネット上では、「3日で受かる」「ぶっつけ本番で余裕」などと言われていたりするが、それは過去の話であり、最近は受験者数が増えているためか難化傾向にあり合格率は50%前後となっている。前述の問題に8割以上正解できなかった場合は、ある程度の勉強時間を確保しないと合格は難しいと考えている。
ちなみに筆者は1000点中785点で合格点を取ることができた。
筆者がITパスポートを取得した方法とおすすめの勉強法
ITパスポートに合格するには、学生で180時間、社会人で100時間程度の学習が必要と言われている。100時間というと、1日1時間の学習で約3ヶ月となるので決してラクに取得できる資格ではないことが分かるのではないだろうか。
また、ITパスポートに関する掲示板を見ると、「会社から取得しろと言われたが、何度受験しても合格できない」「勉強方法が分からない」というような書き込みがあった。合格率が50%前後の国家資格なので、非IT系の社会人や、学生時代にあまり勉強をしてこなかった人にとっては難関資格であるとも言える。
筆者の場合は、平日の夜や週末に1日2時間程度のインプット&アウトプットを心がけて学習をした。関連書籍が多く出版されているので迷ってしまうかもしれないが、確実に合格したければ下記の3冊をしっかりこなせば万全である。どれか1冊でも合格はできるかもしれないが、筆者は1発合格を目指していたので3冊必要となった。本番では似たような問題が多く出題されていた記憶がある。
ITパスポートは過去問から似たような問題が多く出題されるため、過去問のマスターが合格への最短攻略法である。しかし、過去問をいくらやっても合格できない人が存在することも事実だ。大事なことは過去問で問われている周辺知識も、本番で問われたら解答できるようになるまで繰り返し学習することである。
では確実に合格するための具体的な勉強方法をご紹介しよう。
1.写真左側の書籍(ITパスポート絶対合格の教科書)
まずはITパスポートで問われる知識のインプットであり、インプットにおすすめなのがこちらの書籍だ。ただし、実際にやってみるとわかるのだが、インプット目的で書籍を読んでいると、とにかく眠くなる。これではダメだと思い、筆者が次に購入したのが過去問題集である。
2.写真右側の書籍(ITパスポート過去問題集)
過去問を攻略するにはとにかく過去問を解いてみるしかない。そして、実際に解いてみたら解説を読む。解説を読んでもわからない場合は、「絶対合格の教科書」の該当箇所をインプットする。このように、自分が苦手な箇所を明確にしてからインプットをしたほうが動機付けもされるので眠くなることもない。したがって、アウトプット→インプットの順で学習を進めるのがおすすめの方法である。
3.写真中央の書籍(ITパスポートパーフェクトラーニング過去問題集)
試験1~2週間前は直前期であり、モチベーションも高い状態なので学習効率も高まる。そこで先ほど紹介した2冊目の書籍には掲載されていない、令和3年~1年、予想問題2回分をこなすために購入した。令和5年~4年も合わせると、1回につき100題なので、100題×7回分=700問をこなしたことになる。一度や二度間違えた問題のみは3度目も目を通したり解いたりして8割以上は正解できるようにした。このくらい学習しておけば本番でも筆者が785点を取れたように、十分に合格することが可能であると言える。
なお、社会人の学習に不可欠なのがスキマ時間を活用した耳からのインプットである。具体的にはYou Tubeで「ITパスポート 聞き流し」等で検索してみてほしい。親切にも令和5年からの試験について1問1答形式で解説している動画が多くある。おすすめは音声読み上げソフトを使った動画ではなく、人間が雑談も交えて解説している動画である。機械的な解説よりも人間的な解説のほうが記憶にも残りやすいことを実感した。筆者は移動時間や家事の時間などに2倍速で何度も繰り返し聴いていた。
まとめ
ITパスポートに限らず、資格がなくてもコンサルタントとして働くことはできる。しかし、資格を有することで知識の証明にはなるし、何よりも資格を取得する過程の学習こそが、業務に直結する知識を吸収することに繋がり、業務効率が高まり、生産性もアップしていく。IT業界に限らず、昨今は時代の変化が激しく日々新しい知識をインプット&アウトプットしていかないと時代に取り残されてしまう。筆者はこれからもコンサルタントとして常に知識をアップデートしていき、クライアントに喜んでもらえるような高い価値を提供し続けていきたいと考えている。
- マガジン編集部
- この記事はマガジン編集部が執筆・編集しました。
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