「真のロイヤル顧客」の育成方法
- インプットポイント
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- 「真のロイヤルティ」という理想像
- 「真のロイヤルティ」の育成ルート
- 「真のロイヤル顧客」の育成方法
現代ビジネスにおいて、顧客獲得の難しさはますます増しています。競争が激化し、消費者の選択肢が多様化する中で、企業はただ顧客を引き付けるだけではなく、長期的な関係を築くことが求められます。その中、真の価値を提供し、顧客との強い絆を築くために欠かせないのが「ロイヤルティマーケティング」です。
ロイヤルティマーケティングについて、過去4回に渡り以下のテーマでご紹介してきました。
- 顧客と長期的な関係を築くロイヤルティマーケティングとは?
- マインドロイヤルティを可視化するNPS(ネットプロモータースコア)とは?
- ロイヤルティマーケティングを実践するには何をすればいいのか?
- ロイヤルティマーケティングのPDCAに役立つフレームワークとは?
今回は「ロイヤルティマーケティングで目指すべき理想像である『真のロイヤル顧客』をいかに育成するか?」について、ご紹介していきます。
「真のロイヤルティ」という理想像のおさらい
「真のロイヤル顧客の育成方法」をご紹介する前に、前回記事でもご紹介した「顧客ロイヤルティの分類」について、前提としておさらいしておきます。
「顧客ロイヤルティ」は、購買行動に表れる「アクションロイヤルティ」と、顧客の心理的結びつきである「マインドロイヤルティ」の高低の組み合わせによって、以下の4つに分類することができます。(図1参照)
- 真のロイヤルティ:アクション・マインドの両方のロイヤルティが高い
- 潜在的ロイヤルティー:マインドロイヤルティは高いが、アクションロイヤルティは低い
- 見せかけのロイヤルティ:アクションロイヤルティは高いが、マインドロイヤルティは低い。
- ロイヤルティなし:アクション・マインドの両方のロイヤルティが低い
※各ロイヤルティ分類の詳細については、前回記事をご参照下さい。
ロイヤルティマーケティングのPDCAに役立つフレームワークとは?
ロイヤルティマーケティングのミッションは、「『真のロイヤルティ』を持つ『真のロイヤル顧客」の割合をいかに増やしていくか?」と言えます。言い換えると、「エントリー顧客を『ロイヤルティ無し』の状態からいかに育成して『真のロイヤル顧客』にしていくか?」ということになります。
「真のロイヤルティ」の育成ルート
「真のロイヤルティ」を育成するルートは、以下2つが主なルートです。(図2参照)
Ⅰ.④ロイヤルティー無し→③見せかけのロイヤルティ→①真のロイヤルティ
Ⅱ.④ロイヤルティー無し→②潜在的ロイヤルティ→①真のロイヤルティ
「④ロイヤルティー無し→①真のロイヤルティ」の一足飛びのルートも理屈では存在しますが、初期によほど強烈な顧客体験がないと難しいため、あまり現実的ルートではないです。(図2参照)
また、短期的売上につながるという点から、育成戦略としてはⅠの方がⅡよりメインになりやすいルートとなります。
真のロイヤル顧客の育成方法
ここからは、前述した以下Ⅰ・Ⅱのルートそれぞれの主な育成手法についてご紹介していきます。
Ⅰ.④ロイヤルティー無し→③見せかけのロイヤルティ→①真のロイヤルティ
このルートは、「エントリーブランド(初回購入/お試しした商品/サービス)のリピートを初期に選択する顧客」をターゲットとした育成ルートになります。その為、「④ロイヤルティー無し→③見せかけのロイヤルティ」の移行を促す初期の育成施策では、主に以下のような「エントリーブランドのリピート促進のアクションロイヤルティ育成施策」が有効です。
Ⅰ.初回購入時のリピート(定期購入/まとめ買い)促進価格オファー
Ⅱ.初期CRM施策でのリピート(定期購入/まとめ買い)促進価格オファー
Ⅲ.初期CRM施策での「広告で訴求しなかったブランド情報」の追加
「③見せかけのロイヤルティ」では、本質的なロイヤルティをまだ持てていない状態なので、ちょっとした外的な要因で離脱し、競合ブランドに乗り換えやすい状態と言えます。とはいえ、リピート購入による顧客体験のアドバンテージはあるので、「③見せかけのロイヤルティ→①真のロイヤルティ」の移行を促す中期の育成施策では、主に以下のような「購入ブランドに関連するマインドロイヤルティ育成施策」が有効です。
Ⅳ.購入ブランドに対するフィードバックの収集と改善
Ⅴ.購入ブランドのファンコミュニティ・イベント
Ⅵ.購入実績に対応した特典プログラム
Ⅱ.④ロイヤルティー無し→②潜在的ロイヤルティ→①真のロイヤルティ
このルートは、「エントリーブランドのリピートはしてはいないが、ブランド提供企業自体との繋がりまでは絶ってはいない顧客」をターゲットとした育成ルートになります。そのため、「④ロイヤルティー無し→②潜在的ロイヤルティ」の移行を促す初期の育成施策では、主に以下のような「ブランド提供企業に対するマインドロイヤルティ育成施策」が有効です。
Ⅰ.ブランドと直接は関係しない『お役立ち情報』を発信する会員向けコンテンツマーケティング(例:会報誌・メルマガ・記事まとめアプリetc.)
Ⅱ.「安心・安全に対する企業姿勢や取り組み」に関する情報発信
Ⅲ.購入とは関係ない「お金の掛からないアクション」に紐づいたポイントアッププログラム
「②潜在的ロイヤルティ」では、リピートアクションにまだ至っていませんが、企業に対するマインドロイヤルティは高い状態にあります。そのため、「②潜在的ロイヤルティ→①真のロイヤルティ」の移行を促す中期の育成施策では、主に以下のような「エントリーブランドに限定しないアクションロイヤルティ育成施策」が有効です。
Ⅳ.エントリーブランドとは別のブランドのクロスセル/お試しセール
Ⅴ.ブランド体験型イベント
Ⅵ.エントリーブランドの上位ブランドを推奨するアップセル
まとめ
今回は、「真のロイヤル顧客の育成方法」についてご紹介してきました。育成ルートの特性と顧客のステータスを踏まえて適切なアプローチができれば、戦略的なロイヤルティマーケティングの実践が可能となります。ロイヤルティマーケティングのプランニングの際に、今回ご紹介した話が参考になれば幸いです。
Profile
- 田中 瑞樹
- この記事は田中 瑞樹が執筆・編集しました。
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