企業のブランドイメージを守り続ける「社内ガイドライン」とは?効果的なガイドライン策定のためのポイントを解説
- インプットポイント
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- ガイドラインの役割を正しく理解する。
- 効果的なガイドラインを作成するポイントを学ぶ。
- ガイドラインをより社内に浸透させるためのヒントを学ぶ。
業務における品質を保つため、また、クライアントからの企業イメージを守るため、種々様々な顧客接点において、ガイドラインの策定を検討している企業様は多いのではないでしょうか。特に、現代における企業とそのお客様の接点には、メールやSMS、SNS、webチャット、LINEなど様々なツールが挙げられます。そのそれぞれに対し規定を設け、社員の方々への徹底を図ることは、できていますか?
今回は、ガイドラインを策定する際に押さえたい基本的なポイントや、見落としがちな項目、より社内に浸透させるための工夫点などについてご紹介します。
そもそも「ガイドライン」とは?
ビジネスにおけるガイドラインとは、組織運営や業務遂行、法令などにおいて、守るべきルールや行動指針、判断基準、手引き等を明文化したものを指します。ガイドラインは、業務の手順や流れなどが具体的に記載されたマニュアルとは異なり、具体的な行動内容まではルール化しません。そのため、社員全員が、ある一定の決まり事の中で、時と場合、または社員の個性に合わせて柔軟に考え、より良いサービスを提供したり、より良いパフォーマンスを発揮したりできるというメリットがあります。
ガイドライン策定時に押さえたい、基本的なポイント
1. ガイドライン策定の目的を明確にする。
まずは、そのガイドラインが何を規定するためのものなのかを明確にしましょう。例えば、ガイドライン一つをとっても、店舗接客のためのガイドラインなのか、企業のオフィシャルSNSアカウントを運営するためのガイドラインなのか、個人情報保護法を順守するためのガイドラインなのかによって、内容も異なります。そのため、なるべく漠然とした目的は避け、一目見て「そのガイドラインが何のためのものなのか」が明確に伝わる目的を考えましょう。
2. 大まかな方向性を示す。
ガイドライン策定の目的を明確化した後、その目的を達成するために目指すべき姿を、大まかな方向性として示しましょう。例えば、「常に、『お客様にとって嬉しいことは何か』を念頭に置き行動する」といった程度で構いません。目的に即した心構えや、行動指針などもこれに当てはまります。
ガイドラインは、あくまで行動や思考の方向性を示すものであり、その具体的な行動については、読み手が自発的に考え、行動するものです。逆に言えば、読み手にミスリードを誘うような抽象表現は避けた方が良いと言えるでしょう。例えば、「考えて行動する」というような表現の場合、業務者の作業効率を考えて行動すべきか、お客様のご状況を考えて行動すべきか分からないことに注意しましょう。
3. ガイドライン内でキーワードとなる語彙は、明確に定義する。
「1. ガイドライン策定の目的を明確にする」の中で、そのガイドラインが何を規定するためのものなのかを明確にする、というお話しをしました。その作業を通し、ガイドライン内でキーワードをなる語彙も明らかになったのではないでしょうか。例えば、「店舗接客のためのガイドライン」であれば「店舗接客」、「オフィシャルSNSアカウントを運営するためのガイドライン」であれば「SNS」などといった具合です。
ガイドラインを策定するにあたり、そのようなキーワードとなる語彙を明確に定義することは非常に重要です。というのも、語彙を定義することで、規定する範囲(ガイドラインの適用範囲)を限定することができるからです。例えば、「店舗接客のためのガイドライン」において、「店舗接客」の定義を「店舗において、お客様へ対面形式でサービスをご提供すること」とした場合、店舗内での電話対応などは、そのガイドラインの適用外となります。このように、ガイドラインの適用範囲を限定することで、読み手はより業務に即したイメージを以て、ガイドラインを読むことができます。
ガイドライン策定時に見落としがちな項目
1. 一般的な言葉よりも、その企業風土に根付いた言葉を用いる。
企業風土に根付いた、その企業独自の言葉がある場合は、積極的にガイドラインに用いましょう。例えば、「顧客」を差す言葉として、企業内で「お客さま」という呼称を用いている企業様もあれば、「クライアント」という呼称を用いている企業様もあるでしょう。そういった各企業独自の社内共通語のようなものを、積極的にガイドラインに用いることで、読み手側がより社員としての意識や業務イメージを持った状態で、違和感なく読み進めることができます。また、そうすることで、自社の価値観やブランド意識を、より広く深く社員に浸透させることも期待できます。
企業様によっては、「表記ルール」のようなものを定めている場合も少なくないでしょう。その場合は、積極的に表記ルールを活用し、企業風土に根差したガイドラインとなるよう心掛けましょう。
2. 場合によっては、違反リスクやデメリットなども記載する。
ガイドラインを策定する目的にもよりますが、ガイドラインの中には、規定内容を違反することでリスクが上がったり、非常に大きなデメリットが生じたりするものもあります。例えば、SNSの運用ガイドラインにおいてはSNSにおける炎上リスクが想定され、店舗接客ガイドラインにおいてはクレームを受けるリスクが想定され、法令に関するガイドラインにおいては法令違反のリスクが考えられます。また、それらのリスクが発生することにより、企業のブランドが大幅に毀損するというデメリットが生じるなどといったことも考えられるでしょう。
このように、ガイドラインで規定する分野によっては規定違反が重大な損失を招く恐れもあるため、場合によっては違反リスクやデメリットなども記載することも重要です。そうすることで、ガイドライン遵守の重要性をよりしっかりと読み手に伝え、読み手の気を引き締めることもできるでしょう。
3. 法令により規定せざるを得ない内容が無いか、しっかりと確認する。
どのようなガイドラインを策定するとしても、最も違反してはならない項目は法令に関するものです。ガイドラインにおける規定対象によっては、個人情報保護法や景品表示法、特定電子メール法など、法令に関わるような内容に触れざるを得ないものもあるでしょう。一見、法令とは関わりのないように見える分野であっても、実は一部法令に関わる部分がある場合もあります。そのため、規定したい内容に関連する法令がないか、しっかりと確認をしましょう。
ガイドラインを、より社内に浸透させるためには
ガイドラインをより一層社内に浸透させるためには、社員の方々に読んでもらいやすい工夫が必要です。例えば、社内または組織の誰もが閲覧できる場所にガイドラインを格納する、業務マニュアルと一本化し手引き前の章としてガイドラインを記載する、適宜表や図を用いて「読み物」として読む気になれる体裁にする、といった具合です。筆者が関わったプロジェクトの中には、ガイドラインを業務マニュアルや体制図などと一本化し、行動指針と社員の方々が日々行う業務とを結びつけやすいようにした例もありました。また、複数の顧客接点におけるガイドラインを作成した企業様の中には、それらのガイドラインの体系図を用意したいと仰っていた企業様もいらっしゃいました。
工夫の仕方は様々にありますが、最終的には「社員の方々に読んでもらうこと」がガイドラインとしての第一歩です。そのため、最終的に文章化したものを一人の読者として読んだ際に、読みづらくないか、分かりにくくないか、読む気になれるか、といった視点で確認することが大切です。
まとめ
ガイドラインは、時と場合によっては、会社や組織の行動を決定づけるものであり、お客さまがその企業や組織へ抱くイメージを決定づけるものでもあります。また、ガイドライン策定は、言語化されていない企業の価値観などを文章として整理し直す作業でもあります。そのため、ガイドラインの策定を検討している方々にとっては、非常に責任が重く、繊細な作業に感じられるかもしれません。
しかし、ガイドラインを作成し一度浸透させてしまえば、社員は自主的に行動しながら企業のブランドイメージを守り続けることができるのもまた事実です。まずは、ガイドラインの役割を正しく理解することから始め、読みやすく効果的なガイドラインの作成を目指しましょう。そのために、当記事がお役に立てると幸いです。
- マガジン編集部
- この記事はマガジン編集部が執筆・編集しました。
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