2024.08.28NEW

シンプルだけど強力なビジネスモデル「単品リピート通販」とは?

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シンプルだけど強力なビジネスモデル「単品リピート通販」とは?
インプットポイント
  • 単品リピート通販の定義
  • 単品リピート通販と総合通販との違い
  • 単品リピート通販の強み・弱み
  • 単品リピート通販で必要な機能
  • 単品リピート通販に向いている商材
  • 単品リピート通販を成功させるポイントや注意点

リピート通販とは「商品を顧客にリピート(ひき続き購入)してもらう通信販売の手法」です。その最たる例は、定期的に顧客へ商品を届ける「定期購入・販売」などのビジネスモデルです。その中でも、リピートしてもらう前提で「一種類または少数の商品に絞って通信販売を行う手法」として注目されているのが「単品リピート通販」です。

矢野経済研究所の調査によると、定期購入(リピート通販)を含む、2021年度の国内のサブスクリプションサービスの市場規模は7,875億円で、2024年度には9,831億円と、約1.25倍にまで成長すると予測されています。さらに「単品リピート通販」で多く販売されている、サプリ市場が好調です。コロナ禍での健康志向が高まり、日本国内のサプリ市場は1兆円を超え、さらに成長が期待されているそうです。このような、サブスクリプション(定期購入)市場自体の拡大、「単品リピート通販」で人気の商品市場の成長から、今後日本でも「単品リピート通販」はますます増えていくことが予想されます。

今回は、「単品リピート通販」の特徴やメリット、通常の通販との違いなどを詳しく紹介していきます。

単品リピート通販とは?

単品リピート通販とは、特定の単品商品を主軸に販売し、その商品を定期的に購入してもらうことを目的とした通販ビジネスモデルのことを指します。このビジネスモデルは、主にサプリメントや化粧品、健康食品、消耗品などの分野で活用されており、リピート購入を促すことで、安定した売上を確保することが目的となっています。

通常、単品リピート通販では、最初の購入を促すために初回購入価格を大幅に割引したり、無料サンプルを提供したりする戦略が用いられます。その後、顧客が商品に満足し、継続して使用したいと感じた場合に、定期的に商品を自動的に配送する「定期購入」へと誘導します。このようなビジネスモデルは、顧客のライフタイムバリュー(LTV)を最大化し、企業の安定した収益を確保するために非常に効果的です。

単品リピート通販と総合通販との違い

単品リピート通販と総合通販の違いを理解することは、ビジネス戦略を立てる上で重要です。以下に、両者の主な違いを挙げます。

1.商品の種類と販売方式

総合通販は、複数のカテゴリーの商品を幅広く取り扱い、消費者に多様な選択肢を提供します。例えば、Amazonや楽天市場のようなプラットフォームが典型的な総合通販に該当します。一方、単品リピート通販は、特定の商品にフォーカスし、その商品を継続的に販売することを目指します。取り扱う商品は通常1種類、または限定的な商品ラインナップであり、商品を定期的にリピート購入してもらうことに重点を置いています。

2.マーケティング戦略

総合通販では、広範な顧客層をターゲットにしたマーケティング戦略が採用されます。多種多様な商品を一度に購入することができるため、顧客のニーズに応じたプロモーションが展開されます。対照的に、単品リピート通販では、特定の商品に対して強い興味を持つ顧客をターゲットにしたマーケティングが行われます。リピーターを増やすために、商品に関する深い知識と使用方法の提案など、専門性の高い情報提供が重要です。

3.売上の安定性

総合通販は、多様な商品を扱うため、特定の商品が売れなくても他の商品で補填できるため、売上の安定性が比較的高いと言えます。対して、単品リピート通販は特定の商品に依存しているため、商品の質や顧客満足度が直接売上に影響します。しかし、リピーターが増えることで、売上は徐々に安定し、長期的な収益を見込むことが可能です。

単品リピート通販の強み・弱み

単品リピート通販には、いくつかの利点と課題があります。これらを理解することで、ビジネスの強化や改善点を見つけることができます。

【強み】

1.顧客のLTVの最大化

単品リピート通販の最大のメリットは、顧客のLTVを最大化できる点です。リピート購入が続くことで、1人の顧客から得られる収益が増加し、長期的な安定収益が見込めます。

2.売上の予測のしやすさ

定期購入を主軸とする単品リピート通販では、売上の大半が「既存顧の定期購入」によって占められるシンプルで安定したビジネスモデルため、月々の売上を予測しやすくなります。この予測精度の高さは、在庫管理や生産計画の立案において非常に有利です。

3.マーケティングコストの削減

新規顧客の獲得よりも既存顧客のリピート購入を促進する方が、通常はマーケティングコストが低く抑えられます。顧客に対して一貫した商品価値を提供できれば、口コミや紹介による自然な顧客獲得も期待できます。

【弱み】

1.商品依存度の高さ

単品リピート通販は特定の商品に依存するため、その商品が市場で受け入れられなかった場合や競合他社の進出によりシェアを奪われた場合、ビジネス全体が大きな打撃を受ける可能性があります。

2.顧客の他社への乗り換えリスク

リピーターを増やすためには、顧客が満足する品質とサービスを継続して提供する必要があります。もし顧客が商品やサービスに不満を感じれば、すぐに他社に乗り換えられてしまうリスクがあります。

3.初期投資の必要性

初回購入時の割引やプロモーションは、顧客を獲得するための重要な手段ですが、これには初期投資が必要です。投資が回収できるかどうかは、顧客がリピート購入を続けるかどうかにかかっています。

単品リピート通販で必要な機能とは?

単品リピート通販を成功させるためには、以下のような機能が不可欠です。

  • 定期購入システム

顧客が定期的に商品を購入するためのシステムが必要です。定期的に自動で商品が発送される機能や、顧客が簡単に次回の配送をスキップしたり、解約したりできるオプションを提供することが求められます。

  • 顧客管理システム

顧客の購買履歴や問い合わせ内容を管理し、個別の顧客に合ったサービスを提供するための顧客管理システムが重要です。これにより、顧客の満足度を高め、リピーターを増やすことが可能になります。

  • カスタマーサポート

リピーターを増やすためには、迅速かつ適切なカスタマーサポートが不可欠です。顧客が何かしらの問題を感じたときに、すぐに対応できる体制を整えることが重要です。

単品リピート通販に向いている商材

1.消費財

サプリメントや化粧品、洗剤などの消費財は、定期的に購入される必要があるため、単品リピート通販に非常に適しています。これらの商品は、顧客がリピート購入を続けやすい特徴を持っています。

2.健康食品・サプリメント

健康食品やサプリメントは、効果を実感するまでに一定の期間が必要なため、定期購入を促しやすい商材です。また、健康志向の高い顧客層に対して、継続的に使用することで得られる効果をアピールすることが可能です。

3.美容・化粧品

美容や化粧品もまた、定期的に使用することが一般的であるため、単品リピート通販に向いています。特に、特定の肌質や悩みに対応した商品は、顧客のリピートを促しやすい傾向があります。

単品リピート通販を成功させるポイントや注意点

単品リピート通販を成功させるためには、以下のポイントに注意する必要があります。

1.高品質な商品の提供

顧客が商品に満足し、リピート購入を続けるためには、商品自体の品質が非常に重要です。商品に対する顧客の期待を超える品質を提供することで、顧客の信頼を得ることができます。

2.継続的な顧客フォロー

顧客が定期購入を続けるためには、定期的なフォローアップが必要です。例えば、商品の使用方法や効果的な利用法を紹介するメールを送ることで、顧客の満足度を高め、リピート購入を促進できます。

3.柔軟な定期購入プラン

顧客のライフスタイルやニーズに合わせた柔軟な定期購入プランを提供することが重要です。配送頻度や購入量を顧客が選択できるようにすることで、顧客満足度を向上させることができます。

4.クレーム対応と改善

クレームが発生した場合、迅速に対応し、改善策を講じることが必要です。顧客が不満を感じたままでは、リピート購入は期待できません。クレームを顧客の声として受け止め、改善に繋げる姿勢が求められます。

5.ブランドの信頼性の構築

単品リピート通販では、商品に対する信頼だけでなく、ブランド全体に対する信頼も重要です。ブランドの信頼性を高めるために、顧客とのコミュニケーションを重視し、信頼関係を築くことが必要です。

まとめ

単品リピート通販は、特定の商品にフォーカスし、リピート購入を促すことで安定した売上を実現するビジネスモデルです。その成功の鍵は、商品の品質、顧客の満足度、そしてリピート購入を促進するための適切なシステムやサポートにあります。単品リピート通販を展開する際には、顧客のLTVを最大化することを目指し、継続的に改善を行う姿勢が求められます。また、消耗品や健康食品などの特定の商材がこのモデルに適しており、これらを取り扱う際には、顧客との信頼関係を築き、リピーターを増やすための施策を徹底することが重要です。

Profile

田中 瑞樹Consultant
一橋大学卒業後、2000年P&Gファーイースト・インクに入社。アシスタントブランドマネージャーとして新商品のコンセプト開発に従事。2002年ダイレクトマーケティングに強みを持つ広告会社の株式会社大広に入社。営業を2年、マーケティングリサーチャー・ストラテジープランナー2年の職種経験を経て、2006年より大⼿健康⾷品通販クライアントの専属デジタルチームのリーダーに着任。以降、約11年間チームを牽引しつつ、「新規顧客獲得販促活」から「顧客育成のCRM活用」まで幅広い範囲のデジタルマーケティング活動に関して、戦略策定・メディアプラン作成・施策開発等に従事。2017年から株式会社ファーストデジタルにジョイン。
田中 瑞樹
田中 瑞樹
この記事は田中 瑞樹が執筆・編集しました。

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