2024.09.18NEW

製薬業界におけるデジタルマーケティングの未来:重要ターゲットと革新事例

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製薬業界におけるデジタルマーケティングの未来:重要ターゲットと革新事例
インプットポイント
  • 製薬業界向デジタルマーケティング戦略の全体像
  • 最新のAI活用等新技術の活用事例
  • 医療従事者・患者との効果的なコミュニケーション方法

昨今の製薬業界では、業界特有の厳しい規制環境と競争の激化の中で、新たなデジタルマーケティング戦略やデータ活用戦略の検討が急務となっています。特にCOVID-19パンデミック以降、医療従事者や患者との直接の対話が制限され、デジタルチャネルの重要性が一層高まりました。例えば、従来の対面営業が困難となる中、オンラインセミナーやバーチャルカンファレンスが急速に普及し、情報提供の主流になるなど、様々な変化が業界横断で起こっています。また、同様の背景から患者もリモートでの医療サポートを求めるようになり、アプリやウェブサイトを通じたサポートの必要性が顕著になっています。本記事では、製薬企業がどのようにしてデジタルマーケティングを活用し、主要なターゲットに対して効果的なコミュニケーションを図ることができるのか、具体的な事例とともに解説します。

製薬企業のコミュニケーションターゲットの全体像

製薬企業にとって、各ステークホルダーとのコミュニケーションの最適化は事業の成功に直結する重要な要素であると考えます。本章では、製薬企業が主にターゲットとする4つのセグメントについて、それぞれのコミュニケーションゴールとデジタルマーケティングの活用イメージを詳しく解説します。

1.医薬品卸販売担当者(MS)

製薬企業にとって、医薬品卸売業者とのコミュニケーションは、製品情報の提供やプロモーション活動の支援を通じ、最終的に新製品を市場導入することを目的としています。そのために、デジタルマーケティングを活用し、定期メールで最新情報の提供や、ウェビナーを通じた教育活動などを行います。さらに、マーケティングオートメーション(MA)ツールを利用することで、MSごとの関心や行動履歴に基づくパーソナライズされた情報を配信することで、より効果的かつ効率的なコミュニケーションを行うことが重要です。

2.医療従事者

医療機関や医療従事者とのコミュニケーションでは、医薬品卸売企業から自社医薬品を購入してもらうため、最新の医薬品情報の提供、治療ガイドラインやエビデンスの共有、臨床試験への参加を促進するなどの取り組みが重要です。デジタルマーケティングを活用することで、CMS(コンテンツ管理システム)を通じた医療従事者向けの専門情報ポータルサイトの効率的な運営や、AIチャットボットを用いた24時間体制で医療従事者からの質問に対応することなどが可能になります。また、オンライン研修プログラムを提供することで、医薬品の使用方法や治療効果についての理解を深めるなどの取り組みも行っています。

3. 患者

製薬企業と患者とのコミュニケーションにおいては、病気の理解と治療法の情報提供、アドヒアランス(治療遵守)の向上、患者サポートプログラムの促進を目指します。例えば、患者専用のポータルサイトを運営し、個別の健康情報や治療プランを閲覧できる環境を整えることで、患者の自己管理を支援することが可能になります。また、それに付随する形でパーソナライズドメールやSMSリマインダーを活用し、個別にカスタマイズされた情報を提供しより綿密なコミュニケーションを取ることで患者サポートを高度化することも求められています。

4. 消費者(製薬会社から直接医薬品を購入するユーザー)

製薬企業にとっての消費者とのコミュニケーションでは、製品の認知度向上、オンライン販売促進、ブランドロイヤルティの構築が重要です。SNSを活用して製品の魅力を発信し、ECサイトの最適化により消費者が簡単に製品を購入できる環境を提供します。さらに、チャットボットなどの導入で、オンラインストアの顧客サポートを迅速に対応し、顧客満足度を向上させることが重要です。

このように、製薬企業においては様々なコミュニケーションターゲットが存在しますが、この中でも特に重要なのは「医療従事者」と「患者」です。医療従事者は製品の処方に直接関与するため、正確な情報提供とエビデンスに基づいた治療法の普及が求められます。一方、患者は最終的な医薬品の消費者であり、彼らの治療体験を向上させることが製薬企業のブランドロイヤルティの構築と長期的な関係構築に直結します。このため、製薬企業はこれらのターゲットとのコミュニケーションに注力する必要があると考えます。

AIや新技術によるデジタルマーケティングの高度化

ここまで見てきたように、製薬企業はデジタルマーケティングを活用し医療従事者や患者とのコミュニケーションの効率化・パーソナライズ化することを求められており、各社対応を進めている状況です。今後さらにその取り組みが発展することは間違いなく、その参考としてここではAIやその他の新技術を取り入れて、デジタルマーケティングをさらに高度化させる方法や事例を紹介したいと思います。

1.AIの活用

  • 医療従事者向けAIチャットボット: AIを搭載したチャットボットは、医療従事者からの質問に24時間体制でリアルタイムに対応できます。これにより、医療従事者は必要な情報を迅速に取得でき、業務効率が向上します。例えば、PfizerはAIを活用したデータ分析プラットフォームを導入し、プロモーション活動を最適化しています。
  • 患者向けパーソナライズドサポートアプリ: AIを活用したサポートアプリは、患者の健康状態や治療履歴に基づいて、個別にカスタマイズされたアドバイスやリマインダーを提供します。武田薬品工業は、AIを活用した患者サポートアプリを開発し、服薬アドヒアランスを向上させています。
  • データ分析プラットフォーム: AIを活用して、医療従事者の行動データやフィードバックを分析し、効果的なプロモーション戦略を策定することが可能です。ターゲットセグメントごとのニーズを把握し、それに基づいた情報提供を行うことで、関係強化が図れます。

2.バーチャルリアリティ(VR)の活用:

  • 医療従事者向けトレーニング: Rocheは、COVID-19パンデミック中にバーチャルリアリティを活用した医療従事者向けトレーニングプログラムを実施し、安全で効果的な治療法の普及を図りました。VRを用いることで、実践的なトレーニングをリモートで提供し、医療従事者のスキル向上を支援します。

3.第三者データの活用

  • 高精度ターゲティング: 第三者データを活用することで、より精度の高いターゲティングが可能になります。例えば、消費者の購買履歴や行動データを分析し、個々のニーズに合わせたマーケティングメッセージを配信することができます。

まとめ

ここまで見てきたように、製薬企業はAIや新技術を活用することで、重要ターゲットである医療従事者や患者とのコミュニケーションを強化・高度化することが可能です。これらの技術を積極的に取り入れることが、今後業界の中で生き残るために必須であることは言うまでもありません。このような背景を踏まえ、私たちファーストデジタルは、製薬企業がデジタルマーケティングの新時代を生き抜くための戦略策定のお手伝いをしております。ファーストデジタルでは、豊富なデータ活用プロジェクトの経験と専門知識を有し、顧客理解の深化から戦略の実行まで一貫した支援をご提供します。この記事の内容に興味をお持ちの企業は是非ファーストデジタルまでご相談ください。

Profile

木田 祐輔Manager
北九州市⽴⼤学卒業後、広告プロダクションを経て、不動産領域のデジタルマーケティングに特化 したWEB広告代理店に⼊社。コミュニケーションデザインセクションのマネージャーとして、⼤⼿不動産企業の事業戦略やデジタルマーケティング戦略の⽴案、新ブランドや会員組織の⽴ち上げに関わる施策⽴案等、プロデューサー・ディレクション業務に従事。某SIerにおいて仁科のもとでデジタルマーケティングコンサルタントとして就業後、2020年から株式会社ファーストデジタルにジョイン。
木田 祐輔
木田 祐輔
この記事は木田 祐輔が執筆・編集しました。

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