【事例紹介】BtoC企業における新規BtoBビジネスモデルの策定事例①
- インプットポイント
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- ビジネスモデル策定の流れを知ることができる
- ファーストデジタルの提供する案件の概要を知ることができる
ファーストデジタルでは、DXにまつわる様々なコンサルティング案件を日々手掛けております。デジタルマーケティング領域における戦略検討支援やデジタル施策の導入支援、システム導入における要件定義から実行フェーズのPM支援など、その案件実績は多岐にわたります。
今回はその中でも、新規ビジネスモデル策定のご支援実績を数回に渡ってご紹介します。本記事を読むことで、我々が提供するビジネスモデル策定案件の大まかなプロジェクトの流れをイメージいただけるかと思います。
【案件の背景】BtoCモデルからBtoBモデルへのマネタイズ領域の転換
クライアントは子ども/ファミリー向けのエンタメ施設を全国で展開されている企業です。これまでは主に、施設に来るお客様から利用料金を頂戴するBtoC向けのビジネスモデルを主軸にビジネスを展開されていましたが、今後は現在のリソースを活かしながら、BtoB向けに何か新しいビジネスモデル(マネタイズ)ができないか、というご相談でした。
クライアントは長期的にマネタイズが可能な、新たなビジネスモデルを確立したいという要望がありながらも、直近でマネタイズ可能な施策があればすぐに実践して利益を得ていきたいという思いも同時にあったことから、別立てで直近の施策実行部隊となるチームを動かしながら、そことの連携を取って案件を進めていく必要がありました。
【プロジェクトの流れ】差別化ポイント/方針検討フェーズとビジネスモデル検討フェーズ
まず、大きく2つのフェーズに分けてプロジェクトを実施します。
①差別化ポイント/方針検討フェーズ
本フェーズでは、ビジネスモデル策定のための前段として、クライアントが他社と差別化できるポイントを探るために、主に以下の3つの観点で検討を実施します。
1.市場規模/範囲/各種ビジネスモデル調査:
BtoB領域における市場動向や規模、競合における各種マネタイズサービス内容等の洗い出し、整理の実施。
2.強み/弱み定義:
グループ企業全体の持つアセットや、それらとの連携も含めたシナジーを発揮できるポイントについて検討。
3.企業ニーズ/ペイン検討:
クライアントの顧客となりうる企業における、顧客へのPR/営業などのアプローチ面でのニーズや課題を把握/整理。
上記3つの検討が完了すると、クライアントが実施すべきビジネスモデルの全体像が見えてくるため、2つ目のビジネスモデル検討フェーズにうつることができます。
②ビジネスモデル検討フェーズ
本フェーズでは、主に2つのステップに分けて実施します。
1.Tobe像定義と具体化
1つ目のフェーズで行った各種インプットに基づき、BtoB向けのビジネスモデルの全体像を定義します。複数のモデルが考えられるため、それぞれのモデルに関して具体的なマネタイズフロー、実施ステップまで具体的に定義する必要があります。他には、各施策で必要となる顧客データやデータの管理方針まで検討します。
2.施策優先度定義
定義された複数の施策(ビジネスモデル)について、想定されるマネタイズの規模や実施難易度の観点から、実施施策の優先度を定義します。
以上2つのフェーズを、約3ヶ月かけてPM含む4名体制で実施しました。
【困難①】プロジェクト開始直後における、タスク/スケジュールの見直し
プロジェクトを進める上で最初の壁となったのは、プロジェクト開始直後に起きたタスク/スケジュールの見直しです。当初は、フェーズ1の実施にあたり、まずは顧客企業となり得る業種/業界の市場規模を調査する予定でした。どこの業種/業界にアプローチすれば最もあたりが良さそうかを、業界全体のトレンドや市場規模を調査を通じて判断し、絞り込む想定でした。
しかし、いざ調査を始めてクライアントへ途中経過を報告しても、あまり良い反応は得られませんでした。クライアントが本当に求めていたのは、本当にその業界/業種にアプローチしても良いのかという明確な判断基準であり、そして具体的にどのようなビジネスモデルを構築すれば良いのか、の具体的なファクトでした。
そこで我々は、現時点で業界/業種の絞り込みは困難であると判断し、タスク/スケジュールを見直した結果、マクロな市場調査から入るのではなく、ミクロな各種BtoBビジネスモデルの先進事例の調査から着手することに決めました。クライアントと同様のビジネスモデルをもつ競合他社が、具体的にどのようなBtoBビジネスモデルを構築しているのかを調査することで、クライアントに最終的なビジネスモデルの具体的なイメージを抱いてもらうことが狙いです。
当初実施する予定だった市場規模調査のタスクは、後続の企業ニーズ/ペイン検討タスクや、BtoBビジネスモデル検討フェーズで各業界に対するビジネスモデルを定義した段階で、必要に応じて適宜調査を実施する形に変更しました。タスク/スケジュールの見直しを迅速に実施したおかげで、プロジェクトの遅延なく後続タスクを進めることができ、納得感のあるアウトプットでクライアントの信頼を得ることにも繋がりました。
【困難②】ビジネスモデルを洗い出すための調査観点の検討
タスク/スケジュールを見直した後は、各種調査フェーズに移ります。ここで意識すべき点としては、いかに後続のビジネスモデル定義フェーズで示唆となるようなアウトプットを出せるか、です。やみくもに調査したとしても、調査範囲が広いことから、無数のビジネスモデルがまとまりもなく出てきてしまうことは目に見えています。
そこで、我々が定めた調査設計は下記の3つの観点です。
①クライアント企業視点での調査:
クライアントと同ビジネスモデルを取る他社企業が、顧客企業側のビジネスの支援/協業を実施しているビジネスモデルについて調査
②顧客企業視点での調査:
顧客企業側が、クライアント企業と同ビジネスモデルを取る他社企業の支援/協業を受けて、どのようなビジネスモデルを展開しているのかについて調査
③②に関する、特に「子ども向け業界」に関する調査:
②に付随して、特に「子ども向け」事業者からの支援を受けたビジネスモデルについて個別調査。(具体的な調査対象企業をいくつか出した上で、個別に企業担当者にアプローチした上でヒアリング調査等を実施)
また、上記3つの観点よりBtoBビジネスモデルを調査した上で、アウトプットとしてそれぞれのビジネスモデルがバリューチェーンにおけるどこに該当しているのかを図示しました。
バリューチェーンに沿って各ビジネスモデルを分類することで、同業他社がどのバリューチェーンでBtoBビジネスを展開しているのかを明確に定義できるのと同時に、クライアント企業がどこのバリューチェーンに強みを持っているのかも明確にすることができます。
それぞれの観点からの調査を経て、より具体的なビジネスモデルを複数列挙することができ、後続のビジネスモデル定義フェーズのための良い示唆となりました。
まとめ
ビジネスモデルの調査の後は、クライアント企業(グループ企業含む)の持つ強み/弱みを定義し、その後顧客企業となり得るニーズ/ペインの整理を実施しました。
そこまで検討できると、後はビジネスモデルの具体化フェーズにうつります。これまでのインプットを踏まえて複数のビジネスモデルを具体的に定義していきました。次回の記事では、実際のビジネスモデル検討フェーズにおける流れ、およびそこでのプロジェクト進行にあたり困難だったポイント/工夫した点について解説したいと思います。
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- 井上 陽貴
- この記事は井上 陽貴が執筆・編集しました。
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